MainStageユーザガイド
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MainStageのAlchemyのソースフィルタを使用する際のヒント
Alchemyには複数のフィルタタイプがあり、これらはシグナルパス内のさまざまな位置に配置されます。ソースレベルのフィルタとメインフィルタに加えて、エフェクトセクションにもフィルタを挿入できます。フィルタの位置は生成されるサウンドに大きく影響するほか、処理に必要なリソースにも影響します。求める音を得るには、現在使用できるリソースに応じて、エンベロープの設定やボイス数などのパラメータに細心の注意を払う必要があります。
ソースレベルのフィルタリングは、最も精密で、おそらく最も大きな影響をサウンドに及ぼします。短所は、処理に多くのリソースを必要とすることです。処理はボイスごとに行われます。
メインフィルタを使用するとCPU効率が向上し、サウンドに大きな影響を及ぼします。処理はボイスごとに行われます。
エフェクトセクションのフィルタは、ボイスごとではなく信号全体を処理します。多くの場合、シグナルパスのこの段階でのフィルタリングは、サウンド全体を洗練したり、Performanceコントロールに変化を付けたりするために使用されます。
FMフィルタをサウンドソースとして使用する
FMフィルタはサイン波を生成します。このサイン波はソース信号によってモジュレートされます。FM処理によってサウンドに倍音が加わるので、フィルタに送るサウンドが複雑(かつボリュームが大きく)になるほど、サウンドが歪みやすくなります。AlchemyのFMはアグレッシブなサウンドに適していますが、ベースなどのサウンドにも役立ちます。
専用のFMシンセサイザーとは異なり、Alchemyには、FM合成用にあらかじめ設定されたアルゴリズムやモジュレーションマトリックス設定はありません。ただし、さまざまな直列構成や並列構成で膨大な数の「演算子」(FMフィルタ)を実行するためのオプションを備えています。AlchemyのFMは、従来のFMシンセサイザーとは異なる音響特性を持っています。このため、従来のデジタルFMサウンドを再現したい場合、Alchemyでは以下に説明する手順が最適とは限りません。こうしたサウンドを作成するには、加算方式の音声合成や再合成などの方が向いている場合が多いです。AlchemyのFMは、位相ではなくオシレータの周波数をモジュレーションするアナログシンセサイザーのFMに似ています。
MainStageのAlchemyで、名前バーの「File」ボタンをクリックし、ポップアップメニューから「Initialize Preset」を選択してAlchemyのすべてのパラメータをデフォルト設定にリセットします。
詳細表示に切り替え、「A」ボタンをクリックしてソースAのパラメータを表示します。
ソースサウンドに応じてサイン波または三角波を選択します。
ソースAのフィルタ「On」ボタンをクリックしてフィルタを有効にし、フィルタタイプポップアップメニューから「FM」を選択します。
Controlキーを押したまま「Frequency」ノブをクリックし、「Envelope Follower」>「Source A」と選択します。
これによって、フィルタがキーボードのピッチを追跡します。デフォルトでは、ノブの中央の位置は523Hzであり、使いやすい中音域のサウンドが生成されます。音域をオクターブ分ずらしたい場合は、この値に2を掛けるか値を2で割り、最適なサウンドに最も近い整数になるよう四捨五入します。例えば、周波数ノブを262Hzに設定すると1オクターブ低くなります。
フィルタのモジュレーションの深度を調整して、FMフィルタによって生成されるサイン波にソース信号が及ぼす影響の度合いを増やし、結果を聴いてみましょう。さらに大胆に変化させるなら、フィードバックコントロールを調整します。このコントロールを使用すると、フィルタの出力信号がフィルタ自身をモジュレートします。
AlchemyのFMでより複雑なサウンドを作り出すには実験が必要です。以下を試してみましょう:
モジュレーションソースとして、ほかのタイプのVAオシレータまたはサンプルを使用します。
複数のFMフィルタを直列または並列で配置し、求めるサウンドに最も近い配置を探します。これを行う際には、サウンド全体を形作るための調整の度合いを感じ取れるよう、最初はモジュレーションまたはフィードバックの深度を高く設定しないようにします。
ソースの周波数とボリューム(またはシグナルパスの手前にあるFMフィルタ)に別々のエンベロープを使用し、結果を聴いてみます。
重要: 技術的な要件から、多くの場合、FMはソースフィルタのレベルで行うのが最適です。信号がシグナルパスを通って進むにつれ、ゲインの増加によって、次第に(FMによる)モジュレーションと歪みが強まります。FMはマスターのフィルタまたはエフェクトとしてではなく、ソースレベルでの使用が適していると言えるでしょう。
コムフィルタをサウンドソースとして使用する
コムフィルタを主要なサウンドソースとする場合、自然な感じに演奏するにはマスターエンベロープのリリースを長めに設定する必要があります。この結果、オーバーラップするノートや同時発音数が多くなり、CPUに対するオーバーヘッドが大きくなります。そのため、エンベロープのリリース時間を慎重に調整し、マスターボイスセクションでボイスの最大数を減らしておく必要があります。
MainStageのAlchemyで、名前バーの「File」ボタンをクリックし、ポップアップメニューから「Initialize Preset」を選択してAlchemyのすべてのパラメータをデフォルト設定にリセットします。
詳細表示に切り替え、「A」ボタンをクリックしてソースAのパラメータを表示します。
ソースAのフィルタ「On」ボタンをクリックしてフィルタを有効にし、フィルタタイプポップアップメニューから「Comb PM」を選択します。
Controlキーを押したまま「Frequency」ノブをクリックし、「Envelope Follower」>「Source A」と選択します。
これによって、フィルタがキーボードのピッチを追跡します。デフォルトでは、ノブの中央の位置は523Hzであり、使いやすい中音域のサウンドが生成されます。音域をオクターブ分ずらしたい場合は、この値に2を掛けるか値を2で割り、最適なサウンドに最も近い整数になるよう四捨五入します。例えば、周波数ノブを262Hzに設定すると1オクターブ低くなります。
Controlキーを押したままソースAの「Vol」ノブをクリックし(可能な限り低いレベルを選択します)、メニューから新しいAHDSRを割り当てます。
コムフィルタを励起するインパルス信号のエンベロープを設定します。VAノイズから再合成サンプルまで、任意のインパルスタイプを選択できます。FMのアグレッシブな特性はコムフィルタのインパルスにも適しています。
インパルスには、コムフィルタの櫛形の周波数特性を制御しているマスターエンベロープなどとは別の、独自のエンベロープが必要です。最適なエンベロープ設定は求めるサウンドによって異なりますが、経験から述べると、アタックをゼロ、ホールドをゼロ、ディケイはごく短く、サスティンをゼロ、リリースをゼロに設定して始めるとうまくいきます。これによって急速なスパイクで櫛形の動きが始まり、残りのサウンドの生成はコムフィルタ自体が担うことになります。
ヒント: インパルスの選択がトーンに大きく影響することもあるので、さまざまなサウンドソースを試してみるとよいでしょう。方法の1つとしては、「Additive」読み込みを使用して最初のアタック部分が強いサンプルを読み込んでから、「Additive」の「Harmonic」エフェクトのノブを使用してトーンを調整します。これらのコントロールとコムフィルタの適用によって素早く簡単に多数の調整ができ、モデリングしたサウンドから感じられる硬さ、素材感、トーンが劇的に変わります。また、ドラムループを読み込んで「Continuous」ループモードで持続させることもできます。ドラムループは一般に、短く破裂するさまざまなトーンの音を含んでいるので、コムフィルタとの相性がいいです。
必要に応じて、「Damp」コントロールを使用して、リンギングなどサウンドのアーチファクトを減らします。