iPad用Logic Proユーザガイド
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iPad用Logic ProのVintage Mellotron
Vintage Mellotronは、1960~70年代の数多くのクラシックロックやポップソングで用いられ、今でも根強い人気を誇る有名なキーボード楽器「メロトロン」の機能と数々のサウンドを再現します。
メロトロンは現代のサンプル再生楽器の原型といえます。音源にはたくさんの磁気テープが使われ、キーを押すと対応するテープが再生ヘッド上を走行します。各キーのプレッシャーパッドによってテープが再生ヘッドに押しつけられると同時に、ローラーによってキャプスタン(キーボードの下で常時回転している長い棒)に押しつけられて走行することで音が出る仕組みになっています。
各キーのテープは3トラック式で、最大3種類の音色を収録できます。音の長さは8秒までに制限され、8秒経つと音がぷっつりと切れます。キーを放すとテープが開始位置まで戻ります。再生ヘッドと、テープを収納するラックの位置をずらすことで、キーボード全体の音色を切り替えることができます(弦楽器とコーラスを切り替えるなど)。ずらす距離を短くして、テープ上で隣り合う音色をミックスすることもできます。
その後製作された改良型では、より長いテープを使用し、特定の長さごとに異なる音色を収録できるようになります。これは、現代のシンセサイザーでプリセットバンクを切り替えるのと似た仕組みです。それでも再生できるのは最大24音色程度で、それ以上の音色が必要なときは、楽器の中を開けてテープラックごと交換する必要があります。これには相当な手間がかかるため、ライブ演奏には適していません。
当時のサウンドライブラリでは、音を実際に演奏して、音程を変えながら1音ずつ録音していました。そのため、キーによって音の表情に微妙な違いがあり、その独自の音響特性がメロトロンの魅力になっています。
初期のメロトロンは機構が複雑で、テープが伸びやすい、ヘッドが安定しない、温度や湿度の変化、煙、ホコリ、磁気に弱いなどの欠点が多いため、状態を保つのは容易ではありませんでした。そもそも新品であっても、これらの特性上、まったく同じ音のするメロトロンは2台とありませんでした。
Vintage Mellotronには、実機のメロトロンのサウンドライブラリに収録されている各音を、テープの端から端まで、演奏の癖を含めて1音ずつ丹念にサンプリングしたサウンドが含まれています。ただし実機とは異なり、Vintage Mellotronでは音をループさせて、好きなだけ長く演奏できます。ループでは音が一定になることなく、音の本来の「味わい」が残るので、元の楽器で長い音を演奏している印象を出せます。
また、Vintage Mellotronでは、実機のライブラリのテープではできない組み合わせで2つの音色をミックスできます。さらに実機とは異なり、2つの音のバランスを調整することも可能です。
テープ速度のコントロールは、実機で同じコントロールを使用したときに生じる音色のゆらぎを再現します。このほか、オクターブのトランスポーズや音色の調整が可能です。Vintage Mellotronのコントロールを参照してください。
ほかの音源プラグインと同様に、Vintage Mellotronのパラメータはすべて自動化できます。
シンセサイザーを使うのが初めての方は、シンセサイザーの概要を参照してください。そこでは、用語の意味、およびさまざまな合成方法の概要とその動作について学ぶことができます。
プロジェクトにVintage Mellotronを追加するには、音源チャンネルストリップの「音源」>「Vintage Keys」、またはプラグイン領域から選択します。プラグインの概要を参照してください。
ユーザガイドの表記規則
iPad用Logic Proプラグインの表示画面は大きく分けて2種類あります。
タイル表示。プラグイン領域に主なパラメータのみがいくつか表示されます
詳細表示。この画面からプラグインのすべてのパラメータにアクセスできます
このガイドでは、タイル表示で利用できるパラメータを で示します。