iPad用Logic Proユーザガイド
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再合成
録音したサウンドの周波数成分を分析し、加算方式またはスペクトル方式の技法を使ってサウンド表現を再合成(再構築)できます。加算方式の音声合成およびスペクトル合成を参照してください。
加算方式とスペクトル(モデリング)方式では、単純な信号を組み合わせて複雑なサウンドを再構築するという基本概念は同じですが、その実現手法は大きく異なります。加算再合成では、オーディオファイルの倍音構造が分析され、各倍音が別々のサイン波として再作成されます。一方、スペクトル再合成では、信号の周波数スペクトルの変化が分析され、そのスペクトル特性が再合成信号内で再作成されます。
加算方式の再合成システムでは、倍音ごとに、時間に沿ってピッチとボリュームが適切に変化するサイン波が生成されます。そのために、分析したサウンドの周波数スペクトル全体における各倍音の周波数と振幅が計算されます。この方法でサウンドを再合成したあとで、任意の倍音(サイン波)の周波数と振幅を調整できます。理論的には、倍音サウンドを再構築して不協和音にすることなども可能です。
スペクトル方式の再合成システムでは、可聴スペクトルが多数の「スペクトルビン」に分割され、これらのビンのエネルギー分布が分析されます。サイン波またはフィルタされたノイズを使って各スペクトルビンを必要量の信号で埋めることによってサウンドが再作成され、その結果が結合されます。
このように2つの再合成方式はアプローチが異なるため、使用に適したサウンドのタイプも異なります。加算再合成は、1つの音を明確な倍音構造で再作成したいときに適しています。スペクトル再合成は、ドラムのような複雑な不協和音や、コードを含むポリフォニックな素材を扱うときに適しています。
Mac用Logic ProのAlchemyおよびSample Alchemyでは、加算方式またはスペクトル方式を使ってサウンドを再合成できます。また、2つの方式を組み合わせて再合成することもできます。これは、明確なピッチ成分と雑音成分の両方を含むサウンドを扱うときに便利です。例えば、ピアノの音とそれに伴うハンマー打音や、フルートの音とそれに伴うブレス音などです。