iPad用Logic Proユーザガイド
- Logic Pro 1.1の新機能
-
- アレンジの概要
-
- リージョンの概要
- リージョンを選択する
- リージョンをカット、コピー、およびペーストする
- リージョンを移動する
- リージョン間のギャップを削除する
- リージョンの再生をディレイする
- リージョンをトリムする
- リージョンをループさせる
- リージョンを繰り返す
- リージョンをミュートする
- リージョンを分割および結合する
- リージョンをストレッチする
- ノートピッチ別にMIDIリージョンを分離する
- リージョンを所定の場所にバウンスする
- オーディオリージョンのゲインを変更する
- トラック領域でリージョンを作成する
- MIDIリージョンをDrummerリージョンまたはパターンリージョンに変換する
- リージョン名を変更する
- リージョンのカラーを変更する
- リージョンを削除する
- オーディオリージョンにフェードを作成する
- フェーダーを使ってミキシング機能にアクセスする
- 著作権
iPad用Logic ProのEVOC 20 PSのフォルマントフィルタ
EVOC 20 PSの「Vocoder Filter Bank」セクションには、分析セクションと合成セクションにそれぞれ1つずつ、合計で2つのフォルマントフィルタバンクがあります。各バンクでは、最大20のフィルタを使用できます。入力信号の全体の周波数スペクトルが分析され、指定された数の（均等なサイズの）周波数帯域へと分割されます。これらの分析されたフィルタ帯域は、シンセサイザーフィルタバンク内で同じ数の周波数帯によってミラーされます。各フィルタバンクは、これらの周波数帯域内のピークレベル、つまりフォルマントを制御します。
EVOC 20 PSの「Vocoder Filter Bank」セクションには、「Formant Shift」パラメータのモジュレーションに専用のLFOがあります。分析フィルタバンクと合成フィルタバンクをオフセットするため、リズミカルなフィルタスイープやフェイザーのような効果を作り出せます。
フォルマントフィルタパラメータ
「Bands」ノブ/フィールド: フィルタバンクで使用する周波数帯の数（最大で20）を設定します。
「Low Frequency」/「High Frequency」ノブ/フィールド: フォルマントフィルタを通過する最低域および最高域の周波数を設定します。それ以外の周波数成分は遮断されます。
「Low Frequency」/「High Frequency」ノブの値は分析セクションおよび合成セクションの周波数範囲を示します（「Formant Stretch」と「Formant Shift」パラメータのどちらかを使用していない場合）。
「LowBand Mode」の各ボタン: 最上位のフィルタ帯域が、バンドパスとローパスのどちらのフィルタとして動作するかを設定します。バンドパスモードでは、最高帯域よりも高い周波数成分と低い周波数成分は無視されます。ローパスモードでは、最高帯域より高いすべての周波数成分がフィルタ除去されます。
「HighBand Mode」の各ボタン: 最上位のフィルタ帯域が、バンドパスとハイパスのどちらのフィルタとして動作するかを設定します。バンドパスモードでは、最低帯域よりも高い周波数成分と低い周波数成分は無視されます。ハイパスモードでは、最低帯域より低いすべての周波数成分がフィルタ除去されます。
「Resonance」ノブ/フィールド: ボコーダーの基本的な音響特性を指定します。値が小さいほど柔らかい響き、大きいほど鋭い響きになります。技術的には、各周波数帯域の中心周波数付近を強調する、という処理を行っています。
「Formant Shift」ノブ/フィールド: 合成フィルタバンク内のすべての帯域を周波数スペクトルの上または下に移動します。
「Formant Shift」の値が0であれば、合成フィルタバンクの帯域の位置は、分析フィルタバンク内の各帯域の位置と同じになります。正の値を指定すれば合成フィルタバンクの中心周波数が高くなり、負の値ならば低くなります。
「Formant Stretch」ノブ/フィールド: 合成フィルタバンクのすべての帯域について、幅と配分を変更します。最低周波数/最高周波数パラメータによって決められる周波数範囲よりも広くまたは狭くすることができます。
「Formant Stretch」の値が0であれば、合成フィルタバンクの帯域の幅と配分は、分析フィルタバンク内の各帯域の幅と同じになります。値を低くすると合成フィルタバンク内の各帯域の幅が狭くなり、値を高くすると帯域の幅が広くなります。制御範囲は全帯域幅の比率として表されます。
「Formant Stretch」と「Formant Shift」を組み合わせると、最終的なボコーダー音のフォルマント構成が変わり、面白い音質の変化が得られます。例えば、話し声の信号に対して「Formant Shift」の値を大きくすると、ミッキーマウスのような声になります。
「Formant Stretch」および「Formant Shift」は、合成信号の周波数スペクトルが分析信号の周波数スペクトルと対応していない場合に特に有用です。例えば、主として低域の信号を変調する分析信号を使って、高域の合成信号を生成するようなことも可能です。
注記: 「Formant Stretch」と「Formant Shift」パラメータを使用した場合、「Resonance」設定が高いと、極端にずれたレゾナンス周波数が生じることがあります。
フィルタバンクの周波数帯の数を設定する
Logic Proで、「Bands」ノブを使って、EVOC 20 PSのフィルタバンクで使用する周波数帯の数を設定します。
周波数帯を細かく分割するほど、入力信号の特性をより正確に再現できます。逆にこの値を小さくすると、大まかにしか分割されないので、合成エンジンで再現される信号の精度が落ちてしまうことになります。通常は10-15帯域にしておけば、比較的精度も高く、会話や歌などの場合は聞き取りやすさも保たれ、その一方で負荷も適度に抑えることができます。