iPad用Logic Proユーザガイド
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iPad用Logic ProのEVOC 20 PSで話し声の聞き取りやすさを高める
このセクションのヒントを役立てれば、EVOC 20 PSのボコーダーで最良の結果を得られます。レベルと周波数についてのヒントおよび音響上のアーチファクトを防ぐためのヒントも参照してください。
聞き取りやすい話し声にするときは、次のような点に注意してください:
分析信号と合成信号のスペクトルは、ほぼ完全に重なり合っている必要があります。男性の低い声を合成信号とカップリングすると、合成信号の高域成分はほとんど使われません。
合成信号は途切れることなく持続するものである必要があります。これが途切れるとボコーダーの出力も止まってしまうので入力サイドチェーン信号をレガートで滑らかに演奏する必要があります。あるいは(「Sidechain Analyser」セクションの「Release」時間ではなく)「Synthesizer」セクションの「ENV Release」パラメータを長めに設定してもかまいません。残響をかけた音を合成信号として使うのもよいでしょう。ただし後半2つの方法は、ハーモニック成分が重なり合って逆効果になってしまうこともあるので注意してください。
ボコーダーのオーバードライブには注意してください。うっかりするとすぐに歪みが生じてしまいます。
分析信号に使う会話は明瞭に発声してください。歌声よりも、比較的低音で話した会話の方が、良い結果が得られるようです。最終的にボコーダーで合唱のような信号を出力したい場合でも、話し声の方が推奨されます。また、ボコーダーをうまく使っているクラフトワークの「We are the Robots」に出てくる巻き舌の「R」のように、子音は明瞭に発音するよう心がけてください。これはボコーダーを意識して特別に大げさな発音をしたものです。
フォルマントパラメータは自由に設定してみてください。フォルマントをずらしたり伸縮したりしても、声の聞き取りやすさにはほとんど影響しないものです。周波数帯域の数も、声の聞き取りやすさにはほとんど影響しません。これは、話し手の年齢や性別、骨格や喉の形が人それぞれに違っていても、問題なく会話の内容を聞き取れるという人間の能力によるものです。もともと、こういった物理的な違いは、人それぞれの声を作るフォルマントの違いにすぎません。人はフォルマント間の相対的な関係に基づいて音声を知覚認識しているのです。EVOC 20のプラグインでは、かなり極端なフォルマント設定でもこれらの関係は維持されます。