モバイルデータ通信を備えたiPadを導入する
学校内でのWi-Fi接続に加えて、多くの学区では、モバイルデータ通信を備えたiPadデバイスを導入することで、生徒がどこにいても学習できるようにしています。
概要
モバイルデータ通信デバイスを含む導入は、Wi-Fi導入とは大きく異なる点がいくつかあります。そのため、新たに以下の要素を検討する必要があります:
SIM(Subscriber Identity Module)のタイプ
通信事業者の選定
モバイルデバイス管理(MDM)のサポート
コンテンツフィルタリング
詳しくは、ビデオ「モバイルデータ通信環境を計画する」を参照してください。
eSIMと物理SIM
モバイルデータ通信のアクティベーションには、通信事業者から提供されたSIMまたはeSIMのいずれかが必要です。eSIMの方がさまざまな面でメリットがありますが、地域によっては、教育機関が求める規模でのeSIMの導入に対応できる通信事業者が存在しないこともあります。通信事業者を選ぶときは、ユーザの居住地、職場や学校の敷地、および最初にデバイスを構成する場所が通信範囲に入っているかどうかも考慮してください。
通信事業者の選定
一部のiPadデバイスはモバイルデータ通信に対応しています。導入の計画時に通信範囲を最大限に利用できるようにするため、ニーズに合った通信事業者と契約していることを確認してください。
eSIMはソフトウェアベースのため、導入の柔軟性が格段に高く、セキュリティの確保も物理SIMと比べて容易です。管理者は、eSIMのインストールをリモートでトリガできるほか、ユーザがeSIMをデバイスから削除するのを制限することができます。ユーザへの導入後にモバイルデータ通信事業者の変更が必要になった場合でも、MDM(モバイルデバイス管理)コマンド1つで実行でき、ユーザ側での操作は必要ありません。eSIMを使用することにはほかの利点もあります。例えば、許可されている場合は、ユーザが「設定」>「モバイル通信」で以前のeSIMを使用するように変更することもできます。
選定時は、通信事業者に以下の点を確認してください:
契約の締結後、対応しているiPhoneデバイスやiPadデバイスに割り当てるeSIMの作成と提供のスケジュールは?
通信事業者がeSIMの自動インストールのためのApple Lookup Service(ALS)に対応しているか?
通信事業者がユーザによる2台のiPadデバイス間でのeSIM転送を許可しているか?
通信事業者のeSIMサーバ(SM-DP+サーバ)のURLは?
ファイアウォール経由で通信事業者のeSIMサーバにアクセスできることを確認します。
通信事業者のeSIMサーバのホスト名は、MDMを使ってeSIMをインストールするときに使用します。
モバイルデータ通信の通信範囲と容量に関して、以下のことが可能か:
デバイスを導入する予定の場所やリモート学習を行う可能性のある場所の付近にある携帯電話基地局について、通信事業者として調査することはできるか?
注記: 通信事業者によっては多数のデバイスから同時にeSIMのプロビジョニングを要求される事態を懸念することがあるため、多くの場合、自動プロビジョニングを行う際に通信事業者に連絡することが求められます。
コンテンツフィルタリング
学校のネットワーク外に導入されたデバイスについては、場合によってはコンテンツフィルタリングの戦略の見直しが必要です。それらのデバイスは通信事業者のネットワークや、自宅または公共のWi-Fiを使用します。そのため、既存のコンテンツフィルタリングソリューションが学校所有のオンサイトネットワークの使用を前提としている場合は、アプローチを変える必要があります。VPNやグローバルプロキシの構成を使って、すべてのトラフィックを学校のネットワークにルーティングすることも選択肢の1つですが、それを行うには学校のインターネット接続またはその他のインフラストラクチャのアップグレードが必要になる場合があります。
あるいは、わざわざ学校のネットワークを経由させる必要のないクラウドベースのフィルタリングソリューションの方が、モバイルデータ通信デバイスには適しているかもしれません。
ユーザ体験の面では、AppleのNetwork Extensionフレームワークに基づくAppを使ってデバイス上でコンテンツフィルタリングを行うのが最適です。これなら、デバイスからのトラフィックがほぼ皆無になり、コンテンツフィルタリングの制御をローカルで管理できます。
コンテンツフィルタリングの使用時は、VPN/PACファイルベースのフィルタリングソリューションでは「インターネット共有」のトラフィックをフィルタリングできないことに注意してください。「インターネット共有」の使用は、構成プロファイルに制限を追加することで禁止できます。
注記: 一部の通信事業者(例: 米国ではT-Mobile)では、IPv6専用のモバイルデータ通信ネットワークを使用しています。コンテンツ・フィルタリング・ソリューションは、IPv6専用ネットワークとの互換性を評価する必要があります。
eSIMを使ってiPadデバイスを導入する
eSIMを使ってiPadデバイスを大規模に導入するには、デバイス識別子を収集し、この情報を通信事業者に送信し、MDMソリューションにデバイスを登録し、その後MDMコマンドを送信してeSIMをアクティベートする必要があります。
要求された情報(シリアル番号、IMEI、EID)を、以下のいずれかの方法で収集します:
Appleの営業チームに問い合わせる。
製品の箱のバーコードを読み取る。
デバイスをMacにテザリングし、Apple Configuratorまたは
cfgutil
コマンドラインツールを使ってシリアル番号とIMEIを書き出す。この場合、EIDはここに示すその他の方法で各デバイスから取得する。デバイスが導入済みの場合、MDMの機能でシリアル番号、IMEI、および(iOS 14以降とiPadOS 14以降の場合)EIDを照会する。
通信事業者に情報を送信し、eSIMサーバのURLを取得します。
eSIMの準備が整っていることを通信事業者が確認したら、iPadデバイスをMDMソリューションに登録します。
MDMソリューションを使用し、通信事業者のeSIMサーバURLを含むRefresh Cellular Plansコマンドを送信して、eSIMをアクティベートします。この手順の完了方法については、MDMソリューションの資料を参照してください。