IT 部門のリーダーがリモート学習に適した環境を整備する上で役に立つ情報を以下にご紹介します。
デバイスを家に持ち帰るための準備をする
まずはじめに、学校のどのデバイスを教師や生徒が家に持ち帰れるのかを明確にします。その上で、Apple Platform Deployment (MDM) を用いて、生徒のリモート学習を支援するコンテンツ、設定情報、機能制限を iPad や Mac にすばやく設定できます。
リモート学習に利用できるようにデバイスを準備する際には、デバイスの学校での利用状況をふまえた上で、以下の推奨事項を参考にしてください。
教室単位で 1 人に 1 台デバイスを支給している場合
生徒がデバイスを家に持ち帰ったときにリモートで学習できるように設定を調整します。
カート単位でデバイスを共有している場合
生徒各自がデバイスを家に持ち帰れるように設定を調整します。生徒をグループに分け、最初のグループがデバイスを持ち帰ってから所定の期間が過ぎたら返却し、次のグループが持ち帰るといった具合に、スケジュールの設定も適宜必要になります。MDM を使えば、デバイスを簡単に消去し、各ユーザグループに合わせて設定できます。
生徒が個人でデバイスを所有している場合
MDM の手動登録の手順を案内し、生徒が追加の App やリソースにアクセスして家で使えるようにしておきます。デバイスを MDM に手動で登録する方法については、こちらを参照してください。
MDM にデバイスを設定する
- 学校が所有するデバイスについては、そのすべてで自動デバイス登録を使って常に管理下に置き、消去されても MDM に自動再登録されるようにしておきます。
- Mac と iPad をすべて、公開されている最新バージョンの macOS および iPadOS にアップデートします。そうすることで、App や MDM 設定との互換性を確保しておきます。
- Apple School Manager で管理対象 Apple ID を設定し、教師や生徒が書類、メディアプロジェクト、バックアップ用に 200 GB の iCloud ストレージを無料で使えるようにしておきます。管理対象 Apple ID について詳しくは、こちらを参照してください。
- 個人のデバイスを使っている生徒については、Apple School Manager で確認コードを送信し、各自の管理対象 Apple ID を使って iCloud にサインインできるようにしておきます。
- 生徒の日程管理と、学習の習慣化に役立つよう、カレンダーを設定しておきます。カレンダーの MDM ペイロードの設定については、こちらを参照してください。
- 教師や生徒が自宅学習を継続する上で確実に必要となる App 群を配布します。Apple School Manager や MDM を使ってリモートから App を配布できます。Apple School Manager でコンテンツを選択する方法や購入する方法については、こちらを参照してください。
- MDM システムのセルフサービス機能 (利用できる場合) を使い、補足 App のカタログを生徒に提供します。この機能がサポートされているかどうかや、その実装方法については、MDM の説明書を参照してください。
- MDM ソリューションを導入していない場合は、Jamf、Mosyle、Meraki などのプロバイダが、リモート学習環境の迅速整備を支援するため、期間を延長してトライアルを提供しています。
Apple 製のデバイスの設定や管理にまつわる基本的なタスクやリソースについては、こちらのビデオをご覧ください。導入モデルの選定、モバイルデバイス管理へのデバイスの登録、重要な App の生徒への配布などについて、かいつまんで紹介しています。
学校に固有の設定を行う
Apple School Manager を Student Information System (SIS) に関連付けている場合
休校期間や予定のリモート学習期間が含まれるように学期の開始日と終了日を調整します。そうしておけば、クラスの名簿が引き続き Apple School Manager に同期されます。 SIS を Apple School Manager に接続する方法については、こちらの記事を参照してください。
適切なリソースを使えるようにデバイスのコンテンツにフィルタを適用する
生徒が自宅で学習する際に、リソースにアクセスし、利用規定にそって活用できるように設定しておきます。たとえば、以下のように設定してください。
- ネットワークの制限設定で、自宅や公共の Wi-Fi ネットワークからの接続を許可しておきます。MDM でネットワークの制限を設定する方法については、こちらを参照してください。
- Safari や他社製 App のフィルタリングオプションを設定します。たとえば、成人向けコンテンツのフィルタ、グローバル HTTP プロキシ、高度なコンテンツフィルタリング用プラグインなどを設定しましょう。Apple 製デバイス用のコンテンツのフィルタリングについて詳しくは、こちらを参照してください。
- エンドポイントのセキュリティソリューションを使いましょう。たとえば、Cisco Security Connector は、セキュリティ対策とネットワークテレメトリー (遠隔測定法) のクラウド管理サービスをトライアル期間を延長して提供しています。
- 授業時間中に極力注意散漫にならないよう、通知設定を適宜行っておきましょう。通知の MDM ペイロードの設定方法については、こちらを参照してください。
- スケジュールを指定したプロファイルが MDM でサポートされている場合は使い、授業時間中には必要な制限を課しつつ、授業時間外の夕刻にはある程度の融通がきくようにしておきます。
- iOS および iPadOS の制限については、こちらを参照してください。
Apple School Manager と MDM ソリューションの連係でデバイスを保護し、通信や共同制作を推進し、デバイスをパーソナライズして多様な学習スタイルと要件に対応する方法について、こちらのビデオで概要を紹介しています。
ビデオ App やメッセージング App を活用してコミュニケーションする
教師や生徒は、テキストやビデオ会議を通じてリモートでのコミュニケーションを常に図ることができます。
- グループ FaceTime を使えば、最大 32 人で簡単にビデオ会議ができます。
- iPhone、iPad、Mac でメッセージ App とグループメッセージを使って、生徒や保護者にリアルタイムの状況報告や通知を送信できます。
- Apple School Manager で FaceTime や iMessage を有効にする方法については、 こちらを参照してください。
- MDM で連絡先を設定して、教師や生徒の連絡先情報を簡単に調べられるようにしておきます。
生産性向上と共同制作の App を使う
以下の Applse 製の App、サービス、機能は教室でもリモート学習環境でもうまく機能するので、どちらでも使えます。
- スクールワーク1を使えば、先生がお知らせやワークシート、特定の App のアクティビティなどを配布し、生徒の進み具合を把握できます。スクールワークについては、こちらを参照してください1。
- Pages、Numbers、Keynote では、管理対象 Apple ID を使って、生徒や教師がリアルタイムで共同制作できます。共同制作に参加できるメンバーを組織の所属員に限定できます。Pages、Numbers、Keynote で共同制作する方法については、こちらの記事を参照してください。
- iOS 13.4では、学校内の教師や生徒が iCloud Drive でフォルダを共有できます。iCloud Drive の共有フォルダの閲覧権限を持つ人なら誰でも、自分のファイルを追加し、最新バージョンのファイルを入手できるので、課題やその他のリソース (ビデオなど) を共有するのに最適です。
- iPad のマルチタスク機能を使えば、教師や生徒が Google ハングアウトや Cisco Webex でクラスにオンラインで参加しながら、Microsoft Word や Pages で書類を扱うことができます。iPad でマルチタスク機能を使う方法については、こちらの記事を参照してください。
生産性向上と共同制作を支援する以下のツールも iPad と Mac で使えます。
- Google G Suite for Education は、macOS や iPadOS の Safari で機能し、iPad 用のネイティブ App (Google Classroom や Google ドライブなど) も提供しています。
- Microsoft Office 365 の App は iPadOS および macOS にシームレスに統合されています。App Store から入手できます。
- Cisco WebEx や Zoom Cloud Meetings などのカンファレンスツールはライブブロードキャスト機能に統合されているので、教師や生徒が簡単に各自の画面をクラスで共有し、見ることができます。
App Store でその他の教育向け App を探す
App Store では、教育や学習を狙いとした App が多数提供されています。学校や教育者向けのリモート学習用 App、自宅学習用の App、スクールワーク対応の App を厳選し、コレクションにまとめて紹介しています。1 これらの App を Apple School Manager で配布しておけば、教師が教材の配布や生徒とのコミュニケーションに活用でき、学習しやすい環境作りを続ける上でも役立ちます。
さらにヘルプが必要なときは
IT 向けの資料
- 「教育用導入ガイド」は、Apple 製のデバイスを学習環境に導入する方法を紹介する総合的な資料で、1 人 1 台導入する場合も、デバイスを共有する場合も網羅しています。
- クラスの作成、役割の割り当てなど、具体的な方法については、Apple School Manager ユーザガイドを参照してください。
- Apple では、Apple 製品/サービスの導入を成功に導くため、オンデマンドの Web キャストを数本まとめて開発しています。IT スタッフを対象としたデバイスの配布と管理に関するセッションや、教師を支援するためのツールやカリキュラムのセッションを用意しています。教育機関向けの IT と教育ツールの Web キャストや Apple School Manager の使い方に関するオンラインビデオ (いずれも英語) を公開しているので、ぜひご覧ください。
- Apple の「教育のサポート」ページで、Apple への問い合わせ方法や詳しい設定ガイドについて紹介しています。
教師を対象としたその他の学習プログラムやフォーラム
- Apple Education Learning Series を公開しています。学校や教育者の方を対象に、リモート学習に役立つ情報を配信しています。このシリーズは、Apple Education Leadership and Learning チームが提供しています。各ビデオでは、Apple 製品に組み込まれた機能を使って、生徒全員のリモート学習環境を整える方法を教育者に向けて紹介しています。
- 教師の方は Apple Teacher にご登録ください。iPad や Mac のスキルを自分のペースで学べる無料のプロフェッショナルラーニングプログラムです。学んだ技術は、生徒と取り組むアクティビティにすぐに応用できます。
- #AppleEDUchat は、世界中の教育者に向けて毎週開催されるフォーラムです。Twitter でアイデアを共有し、質問をし合い、お互いに学び、高め合いましょう。Twitter では、多くのチャットでリモート学習のアイデアについて意見交換が行われています。
その他のリソース
- Apple のデバイスにはアクセシビリティ機能が組み込まれているため、どのような学習者にも対応できます。視覚に障がいのある生徒には VoiceOver、身体機能に制限がある生徒には音声コントロール、聴覚に障がいのある生徒にはクローズドキャプションを活用いただけます。Apple 製デバイスのアクセシビリティ機能については、こちらを参照してください。
- Apple のデバイス、ソフトウェア、サービスは、プライバシーとセキュリティを考慮して作られています。Apple の製品は、データの収集や使用を制限し、極力デバイス上で処理を済ませ、情報の共有方法について透明性と管理機能を確保する仕様になっています。教育の現場における Apple 製品のプライバシーとセキュリティについては、こちらの記事を参照してください。
- Apple 製品のお手入れ方法については、こちらの記事を参照してください。
1. スクールワーク App は、オーストラリアとニュージーランドでは Classwork という名称で呼ばれています。
2. この記事で紹介している一部のリソースは、米国以外では提供されていない可能性があります。