
Compressorでビデオの色空間とHDRメタデータを変更する
Compressorにソースビデオを追加すると、ファイルのネイティブの色空間が自動的に識別され、ジョブの概要にバッジ(SDRまたはHDR)が表示されます。

一部のプリセットでは、出力するビデオでその色空間を変更できます。10ビットカラーのプリセットでは、出力ファイル用にWide Gamut HDRの色空間を選択できます。
Compressorで割り当てられたネイティブの色空間を確認する/上書きする
「ジョブ」インスペクタの「ビデオのプロパティ」領域で、「色空間」ポップアップメニューに表示されているオプションを確認します。
ネイティブの色空間を識別するメタデータがソースファイルに含まれている場合は、ポップアップメニューに表示される色空間の横にアスタリスク(*)が追加されます。ソースファイルにタグがないか、認識されない色空間のタグが付いている場合は、メディアの解析結果に基づいて色空間が割り当てられ、ポップアップメニューでその項目の横に短剣符(†)が追加されます。
Compressorによるソースファイルのカラーデータの解釈が誤っていると思われる場合は、ポップアップメニューから別のオプションを選択して、割り当てられた色空間を変更してください。
注記: このプロパティを別のオプションに変更しても、書き出されるファイルは別の色空間に変換されません。ソースメディアの解釈方法が変更されるだけです。別の色空間にトランスコードする方法については、ビデオファイルを別の色空間にトランスコードするを参照してください。
HDRメタデータを表示する/変更する
書き出したビデオをHDR対応のテレビまたはディスプレイで再生すると、装置によってメタデータが検出され、カラーレベルが自動的に調整されます。(CompressorでHDRトランスコードを実行するにはmacOS 10.13以降が必要です。)
「ジョブ」インスペクタの「HDRメタデータ」領域で、必要に応じて利用可能なプロパティを表示または変更します:
HDRメタデータを含める: 出力ファイルにHDRメタデータを含めるには、このチェックボックスを選択します。(ソースファイルでHDRメタデータが検出されると、このチェックボックスが自動的に選択されます。)
原色: このポップアップメニューを使って、標準のプリセット色空間を選択するか、「カスタム」を選択して独自の色度座標値を設定します。
赤、緑、青、ホワイトポイント: ターゲットとなるディスプレイ(HDR対応の装置)の3原色のそれぞれとホワイトポイントの色度座標(x値とy値)が表示されます。
ホワイトポイント: このポップアップメニューを使って、標準のプリセットホワイトポイントを選択するか、「カスタム」を選択して値フィールドに独自の値を入力します。
ルミナンス: ターゲットとなるディスプレイの最大輝度と最小輝度がニト(カンデラ毎平方メートル)単位で表示されます。
MaxCLL: ビデオファイル内の最も明るいピクセルの値(コンテンツ内の最大輝度レベル)がニト単位で表示されます。
MaxFALL: ビデオファイル内の1フレームの最大平均輝度レベルの値(フレームの最大平均輝度レベル)がニト単位で表示されます。
ビデオファイルを別の色空間にトランスコードする
一部のトランスコードプリセットでは、出力するビデオの色空間を変更できます。
Compressorで、適用済みまたはカスタムのプリセットを選択します。
「ビデオ」インスペクタの「ビデオのプロパティ」セクションで、「色空間」ポップアップメニューをクリックしてオプションを選択します。(オプションはプリセットのフォーマットによって異なります。)
自動: Compressorによって割り当てられた色空間です(「ジョブ」インスペクタの「色空間」ポップアップメニューに表示されます)。
Rec. 601(NTSC): 北米と日本のインターレース・アナログ・ビデオ信号用に設計された古い標準色域の色空間です。
Rec. 601(PAL): 欧州のインターレース・アナログ・ビデオ信号用に設計された古い標準色域の色空間です。
Rec. 709: 高精細度のテレビディスプレイ、Blu-rayディスクフォーマット、およびほとんどのテレビ放送局で使用されている標準色域、8ビットの色空間です。
Rec. 2020: 将来の消費者向けディスプレイ装置用に開発されたWide Gamut色空間ですが、現在はマスタリング(将来にも対応できるプロジェクトにするため)や4Kおよび8Kテレビのプロジェクトに利用されています。
Rec. 2020 PQ: ビデオファイル内のイメージ信号値をHDR対応ディスプレイの絶対輝度レベルに変換する数学的伝達関数Perceptual Quantizer(PQ)を使用した、Rec. 2020色空間です。人間の目の感度に近づけるために開発されたPQでは、あらゆる輝度レベルで優れたコントラストを実現できます。このオプションは、HDR10フォーマットのファイルを出力するときに使用します。
Rec. 2020 HLG: ビデオファイル内のイメージ信号値をシーンの相対輝度レベルに変換する数学的伝達関数ハイブリッド・ログ・ガンマを使用した、Rec. 2020色空間です。BBCとNHKによって開発されたHLGは、メタデータを必要とせず、SDRディスプレイでも再生できます。
P3 D65 PQ: Display P3の色空間(新しいAppleデバイスやWide Gamutの4Kテレビで使用されている広色域)をPerceptual Quantizer(PQ)関数と組み合わせて、カラー値と明度値をハイダイナミックレンジのコントラストレベルに変換する規格です。
sRGB(IEC 61966-2-1): コンピュータディスプレイ用の業界標準の色空間で、Rec. 709とよく似ています。この規格は、JPEG、GIF、PNG、TIFF、BMPなど、ほとんどのデジタル静止画像で使用されています。
注記: 標準色域のソースファイルをWide Gamut色空間にトランスコードしても、ビデオの外観は変わりません。同様に、10ビットHDRオプションを使って8ビットの標準ダイナミックレンジ・ファイルをトランスコードしても、最初から存在していなかった追加の解像度をCompressorで作り出すことはできないため、ビデオの外観は変わりません。