macOS ServerのXsan SANについて
ストレージ・エリア・ネットワーク(SAN)とは、コンピュータが共有ファイルにすばやくアクセスでき、管理者はストレージの容量を簡単に拡張できるようにするための、コンピュータとストレージデバイスの接続方法です。
Xsan SANは以下の要素で構成されます:
共有データボリューム
ディスク障害から保護されるストレージ領域を提供するRAIDシステム
メタデータコントローラとして機能する1台以上のコンピュータ。RAIDアレイを組み合わせて、クライアントにストレージをローカルディスクのように機能するボリュームのように見せかけます
確立されたアクセス権とクオータに従ってストレージにアクセスするクライアントコンピュータ
基盤となるFibre Channel、Distributed LAN Client(DLC)、およびEthernetネットワーク
共有SANボリューム
クライアントコンピュータのユーザまたはアプリケーションから、ローカルボリュームであるかのように共有SANストレージにアクセスできます。Xsanボリューム は、RAIDアレイのプールで構成された論理ディスクです。
メタデータコントローラ
Xsan SANを設定するときは、1台以上のコンピュータをメタデータコントローラとして動作するように割り当てます。このコントローラは、ボリュームのメタデータを管理したり、ファイルシステムのジャーナルを維持したり、ファイルへの同時アクセスを制御したりします。メタデータには、ファイルが保存されている場所や、利用可能な領域のうちどの部分が新しいファイルに割り当てられるかなどの情報が含まれます。
ボリュームの可用性を保証するには、SANに複数のメタデータコントローラを含めてください。アクティブなコントローラに障害が発生した場合は、スタンバイコントローラがその機能を引き継ぎます。
クライアント
ユーザまたはアプリケーションがSANボリュームにアクセスするために使用するコンピュータは、クライアントと呼ばれます。クライアントは、コントローラとのメタデータの交換をEthernetネットワーク経由で行いますが、ボリュームにストレージを提供しているRAIDシステムとのファイルデータの送受信にはFibre ChannelまたはDistributed LAN Client(DLC)を使用します。
Fibre Channelネットワーク接続
Xsanでは、高速のFibre Channel接続経由でクライアントとSANボリューム間でデータが通信されます。コントローラとボリューム間のメタデータの通信にもFibre Channel接続が使用されます。
Xsanでは、クライアントとストレージの間で複数のFibre Channel接続を利用できます。Xsanでは、読み出しと書き込みのための接続を交互に切り替えたり、ボリュームがマウントされたときにボリュームの各RAIDアレイを1つの接続に割り当てたりできます。
Ethernetネットワーク接続
すべてのバージョンのXsanは、Ethernetネットワーク経由でファイルシステムのメタデータを交換します。(コントローラは、Fibre Channelを使用してボリュームのメタデータの読み出しと書き込みを実行します。)
インターネットやイントラネットのトラフィックとメタデータ通信が干渉しないようにするには、パブリック(インターネット)とプライベート(メタデータ)のEthernetネットワークをそれぞれ設定することもできます。詳しくは、Appleのサポート記事「macOS ServerでXsanメタデータにプライベートネットワークを使う」を参照してください。
Distributed LAN Client(DLC)ネットワーク接続
OS X 10.11以降で稼働するXsan 4.1以降は、StorNextのDistributed LAN Client(DLC)ネットワーク接続をサポートするため、クライアントはファイバー接続の代わりにEthernet経由でSANに接続できます。これにより、データの取り込みや編集などのタスクはファイバー経由で実行し、その他のタスクはDLC接続で実行するという使い分けができます。
パブリックネットワーク(インターネット)、プライベートネットワーク(メタデータ)、およびDLCネットワークをそれぞれ独立したネットワークとして構成できるため、パフォーマンスが最適化されます。3つのネットワークすべてを1つの有線ギガビットEthernet接続で構成することもできますが、スループットは低下します。
注記: Distributed LAN Client(DLC)を使用する場合、macOSがサポートするのはクライアントのみです。メタデータコントローラはサポートしません。