Final Cut Pro Xユーザガイド
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Final Cut Proのマルチカム編集の概要
Final Cut Proでは、マルチカメラ撮影やその他の同期された素材から、リアルタイムで素材を編集することができます。たとえば、4台のカメラを使ってコンサートや結婚式を撮影した場合、各カメラアングルの素材を同期させて1つのマルチカムクリップにまとめ、再生しながらカット編集してアングルを切り替えていくことができます。
マルチカムクリップの各アングルは、共通の同期点に基づいて同期されます。同期点とは、各アングルで映像または音声が一致していると認識できるフレームのことです。マルチカムクリップをタイムラインに追加してプロジェクトを再生したときにビューアに表示されるアングルをアクティブアングルと言います。アクティブアングルをビューアで再生しながら、アングルビューアですべてのアングルを同時に再生して表示したり、それらのアングルを簡単にカットしたり切り替えたりすることもできます。
Final Cut Proでは、マルチカムクリップを柔軟に編集できます。必要に応じていつでも、マルチカムクリップにアングルを追加したり、アングルを削除したり、アングルの同期を調整したりできます。
さらに、関連のない素材を1つにまとめて、リアルタイムでモンタージュ編集することもできます。これは、ミュージックビデオを作成するときなどに便利です。いくつかの抽象的な映像をアングルとして追加し、音楽に合わせてアングルを切り替えることができます。カメラで撮影した写真をマルチカムクリップに追加することもできます。写真の日時(コンテンツの作成日)情報がほかのアングルのコンテンツと一致する場合は、そのアングルの長さに合わせて写真の継続時間が自動的に調整されます。
マルチカムクリップには以下の特徴があります:
マルチカムクリップの編集と調整は、タイムラインに似たアングルエディタで行います。
マルチカムクリップをタイムラインに追加すると、ブラウザの“親”マルチカムクリップとタイムラインの“子”マルチカムクリップとの間にアクティブな直接関係が結ばれます。
マルチカムクリップをアングルエディタで開くときは、ブラウザとタイムラインのどちらから開いても、ブラウザの親マルチクリップが開きます。アングルエディタでマルチカムクリップに加えた変更は、すべてのプロジェクト内の同じマルチカムクリップのすべての子クリップに継承されます。継承される変更には、同期調整、トリミング調整、クリップの速度のリタイミング、ビデオエフェクトとオーディオエフェクト(色補正など)、アングルの追加と削除などが含まれます。たとえば、親マルチカムクリップから1つのアングルを削除すると、すべての子クリップからそのアングルが削除されます。アングルエディタについて詳しくは、Final Cut Proでカメラアングルを同期する/調整するを参照してください。
ヒント:プロジェクト全体の「スナップショット」バックアップを作成することで、誤って変更されることを防ぐことができます。プロジェクトのスナップショットは、マルチカムまたは複合の親クリップが含まれている、必要なものがすべて揃ったバックアップバージョンです。プロジェクトをスナップショットとして複製すると、マルチカムまたは複合の親クリップのコピーが作成されて複製先のプロジェクトに埋め込まれます。このため、クリップのその他のインスタンスに対する変更はスナップショットには影響しません。Final Cut Proのプロジェクトおよびクリップを複製するを参照してください。