Compressorの「QuickTimeムービー」プリセット
Compressorの「プリセット」パネルにある多くの内蔵のプリセット(「ソーシャルプラットフォーム」、ProRes、Proxyプリセットなど)では、「QuickTimeムービー」フォーマットが使用されます。このフォーマットでは、Final Cut Proのプロキシワークフローを含むさまざまな用途に使えるビデオファイルにエンコードされます。Final Cut Proで最適化されたファイルおよびプロキシファイルを作成するを参照してください。
「QuickTimeムービー」フォーマットに基づくプリセットでは、H.264やHEVC(High-Efficiency Video Coding。H.265とも呼ばれます)など、さまざまなエンコーダを選択できます。「QuickTimeムービー」に基づくプリセットをジョブに追加すると、適切なコーデックが自動的に選択されます。コーデックは「ビデオ」インスペクタで変更できます。(HEVCを使ってトランスコードを実行するには、コンピュータでmacOS 10.13以降を実行している必要があります。また、HEVCの再生には、macOS 10.13、iOS 11、iPadOS 13、tvOS 11、またはそれ以降を実行しているAppleデバイスが必要です。)
注記: 「QuickTimeムービー」トランスコードフォーマットを使用するカスタムプリセットを作成することができます(HEVCエンコーダを使用するプリセットなど)。
このフォーマットを使用する内蔵およびカスタムプリセットのプロパティは、「一般」インスペクタ、「ビデオ」インスペクタ、「オーディオ」インスペクタ(後述)にあります。
プリセットの概要
Compressorで使用されるプリセット名およびトランスコードフォーマットと、出力ファイルの予想サイズが表示されます。ジョブにプリセットを追加するか、プリセットのプロパティを変更すると、この概要は自動的にアップデートされます。
一般のプロパティ
名前: プリセットの名前が表示されます。
説明: プリセットの説明が表示されます。
拡張子: 出力ファイルの拡張子(.mov)が表示されます。
セグメンテーションの書き出しを許可: このチェックボックスを選択すると、利用可能なメディアエンジンまたは共有コンピュータグループを使って出力ファイルが処理されます。共有コンピュータグループの使用について詳しくは、Compressorを使って複数のコンピュータでバッチをトランスコードするを参照してください。
デフォルトの場所: ポップアップメニューから、トランスコードしたファイルのデフォルトの保存先を選択します。
フォーマット: このポップアップメニューを使って、出力にビデオとオーディオを含めるか、ビデオのみを含めるか、またはオーディオのみを含めるかを設定します。
ネットワーク用に最適化: このチェックボックスを選択すると、ネットワークからファイルの一部のみがダウンロードされた時点で再生が始まるようになります。
リタイミング
トランスコード処理時にフレームレートの調整に使用する処理アルゴリズムを設定します。以下のいずれかのオプションを選択します:
以下のパーセントのソースを使用: 出力クリップの速度をソースクリップの速度のパーセント値で変更します。パーセント値フィールドに値を入力するか、横のポップアップメニュー(下向き矢印)からプリセット値を選択します。
設定: クリップの継続時間を設定します。フィールドに継続時間をタイムコードで入力するか、矢印をクリックして時間を増減します。
ソースフレームを[フレームレート] fpsで再生: クリップの再生速度を非破壊で変更します。フレームが増減されることはありません。このプロパティは、「ビデオ」インスペクタの「フレームレート」プロパティでソースファイルのフレームレートとは異なる値を指定した場合にのみ効果があります。例えば、フレームレートが24 fpsで継続時間が10秒のソースファイルをCompressorに追加して、「ビデオ」インスペクタで「フレームレート」プロパティを25 fpsに設定してから、「一般」インスペクタで「ソースフレームが25 fpsで再生されるようにする」を選択した場合、トランスコードされたクリップ(25 fps)の継続時間は9秒と15フレームになります。
詳しくは、Compressorを使ってビデオおよびオーディオをリタイミングするを参照してください。
キャプション
キャプション領域には、「CEA-608キャプションを埋め込む」チェックボックスという1つのプロパティがあります。ジョブにCEA-608クローズドキャプションを追加していて、そのキャプションを出力ビデオファイルに挿入したい場合は、このチェックボックスを選択します。Compressorでサポートされているキャプションの概要を参照してください。
メタデータ
トランスコードへのメタデータの埋め込み方法を指定します。Compressorでメタデータ注釈を操作するを参照してください。
ジョブ注釈を使用: 「ジョブ」インスペクタに表示されているジョブ注釈のメタデータを含めます。これがデフォルトのプリセットです。
ソース・ファイル・メタデータのまま: 既存のメタデータをソースファイルからトランスコードに渡します。「ジョブ」インスペクタに表示されているジョブ注釈は無視されます。
すべてのメタデータと注釈を削除: ソースファイルにメタデータを渡しません。
ジョブ注釈として表示できないメタデータをソースファイルから取り込む: 「ジョブ注釈を使用」が選択されている場合に選択できます。「ジョブ」インスペクタに表示されているジョブ注釈のメタデータを含め、 既存のメタデータをソースファイルからトランスコードに渡します。
ビデオのプロパティ
ビデオパススルーを有効にする: このチェックボックスを選択すると、ソースビデオが変更なしで書き出し先ファイルにコピーされます。このチェックボックスを選択すると、ビデオのプロパティ領域にあるほかのすべてのプリセットが無効になります。
フレームサイズ: このポップアップメニューを使って、出力ファイルのフレームサイズ(解像度)を設定します。Compressorでのフレームサイズ変更の概要を参照してください。以下の4つのカテゴリが選択できます:
自動: 入力サイズに基づいて出力を調整します。最大解像度以下に制限できます。
割合(%):入力サイズに対する割合に基づいて出力を調整します。
手動: 出力を強制的に特定の解像度に設定します。
制限:出力を特定のアスペクト比に制限します。
出力アスペクト比に合わせてセンタークロップ: このチェックボックスを選択すると、「フレームサイズ」ポップアップメニューでアスペクト比を変更したときに、ビデオが新しいアスペクト比で中央に配置されるようになります。
ピクセルのアスペクト比: このポップアップメニューを使って、ピクセルアスペクト比(エンコードされた幅と表示幅の比)を設定します。
注記: このプロパティは、「フレームサイズ」が手動または制限付きのプリセットのときにのみ設定できます。
フレームレート: このポップアップメニューを使って、出力ファイルの再生レート(1秒当たりに表示されるイメージ数)を設定します。Compressorのリタイミングオプションを参照してください。
フィールドの順番: このポップアップメニューを使って、出力のスキャン方式を設定します(フィールドの優先順位を指定するか、プログレッシブスキャンに変換できます)。以下の4つのオプションがあります:
自動: ソースのフィールドの順番と選択したコーデックの機能に基づいて、最適なフィールドの順番を選択します。
プログレッシブ: すべてのラインが同時にサンプリングされ、ビデオが完全なフレームで表示されます。
上を優先: ビデオがインターレースされ、2つの異なるインターリーブフィールドとして表示されます。上のライン(偶数ライン)を含むフィールドが、下のライン(奇数ライン)を含むフィールドよりも先にサンプリングされます。このフィールドの順番は、HD(高精細度)PALビデオとSD(標準精細度)PALビデオでよく使用されます。
下を優先: ビデオがインターレースされ、2つの異なるインターリーブフィールドとして表示されます。下のライン(奇数ライン)を含むフィールドが、上のライン(偶数ライン)を含むフィールドよりも先にサンプリングされます。このフィールドの順番は、SD(標準精細度)NTSCビデオでよく使用されます。
注記: H.264フォーマットに基づくQuickTimeムービープリセット(「ビデオ共有サービス」プリセットにあるプリセットなど)を使用すると、「フィールドの順番」ポップアップメニューが無効になり、自動的に「プログレッシブ」(フレームを完全にスキャン)に設定されます。フィールドの順番をインターレースオプションに設定するには、インスペクタで「マルチパス」を無効に設定します。
色空間: このポップアップメニューを使って、ソースメディアを新しい色空間に変換します。「自動」を選択すると、選択したプリセットに基づいて最適な色空間が自動的に選択されます。「ソースと同じ」を選択すると、ソースファイルの色空間が使用されます。手動プリセットを選択して、デフォルトを無効化することもできます。ビデオファイルを別の色空間にトランスコードするを参照してください。
RAWからログ:このポップアップメニューを使って、ProRes RAWの変換方法を選択します。「自動」を選択すると、変換方法が自動的に選択されます。手動プリセットを選択して、デフォルトを無効化することもできます。このオプションを選択できるのは、ソースがProRes RAWの場合だけです。
カメラのLUT:このポップアップメニューを使って、ソースに適用するカメラのルックアップテーブル(LUT)を選択します。ビデオを別の色空間に変換するには、カスタムLUTを選択してください。このプリセットは、ソースがProRes RAWで「RAWからログ」が「なし」以外の値に設定されている場合に有効になります。また、「ジョブ」インスペクタのビデオのプロパティで「カメラログ」が「なし」以外の値に設定されている場合にも有効になります。
ステレオスコピック: このポップアップメニューは、ステレオスコピックファイルを操作するときや、ステレオスコピックファイルで使用する新しいプリセットを作成するときに使用でき、ソースファイルのトランスコードされたビデオを対応させる目(左目または右目)を選択します:
自動: トランスコードされたビデオが対応する目を自動的に設定します。左右両方の目の情報を含むソースビデオでは、Compressorではトランスコードされたビデオにヒーローの目を選択します。Compressorはファイル内のタグを使用してこれを行います。Compressorが使用する目をファイルタグから特定できない場合は、「左目」が選択されます。
左目: トランスコードされたビデオをステレオスコピックソースの左目に設定します。
右目: トランスコードされたビデオをステレオスコピックソースの右目に設定します。
注記: MV-HEVC空間ビデオを操作するには、macOS Sonoma 14以降を実行しているAppleシリコンを搭載したMacが必要です。 ほかのシステムでは、MV-HEVCステレオスコピックビデオは、ヒーローの目のみを使用するモノスコピックHVECファイルとして扱われます。
シネマティック: このポップアップメニュー(macOS Monterey 12以降で使用できます)を使って、「シネマティック」モードで録画されたビデオのメタデータの処理方法を指定します(「シネマティック」モードのビデオがサポートされているiPhoneモデルの場合)。以下の3つのオプションがあります:
無視: ソースファイルのすべての「シネマティック」モードのメタデータを無視します。ソースファイルに「シネマティック」モードのメタデータが含まれていない場合は、「無視」が選択され、メニューは淡色で表示されます。
レンダリング: 「シネマティック」モードのメタデータが存在し、「ビデオパススルーを有効にする」チェックボックスが選択されていない場合、「シネマティック」モードのビデオを書き出し先ファイルにレンダリングするよう選択することができます。
注記: macOS 11以前を実行している場合、「シネマティック」ポップアップメニューは使用できません。ソースファイルに「シネマティック」モードのメタデータが含まれ、「ビデオパススルーを有効にする」チェックボックスが選択されていない場合、「エラーと警告」ウインドウに、「シネマティックモードのビデオは、macOS 12.0以降で実行している場合にのみレンダリングできます」という警告が表示されます。
360°メタデータ: このポップアップメニューを使って、出力ファイルに360°メタデータを含める場合にその種類を選択します。
自動: メタデータのフォーマットが、「ジョブ」インスペクタでのプロパティと、適用したトランスコードプリセットに基づいて自動的に選択されます。選択されたフォーマットはポップアップメニューの右に表示されます。
なし: 出力ファイルに360°メタデータが添付されません。
全方位ビデオV1: YouTubeやVimeoなどの共有サイトで最もよく使用されている360°メタデータフォーマットです。
全方位ビデオV2: それほど使用されていませんが、新しい360°メタデータフォーマットです。YouTubeおよびVimeoで使用されています。
詳しくは、Compressorを使って360°ビデオメタデータを表示するを参照してください。
コーデック: このポップアップメニューを使って、ビデオ圧縮のタイプを設定します。
「QuickTimeプリセット」を「H.264」または「HEVC」に設定すると、さらにいくつかのコントロールが有効になります:
エンコーダのタイプ: このポップアップメニューを使って、エンコーダのタイプを設定します。「コーデック」を「HEVC」に設定すると、このポップアップメニューが有効になります。以下の2つのオプションから選択します:
高速(標準品質): 高速なコーデックを使って標準品質で出力ファイルをエンコードします。
低速(高品質): 低速なコーデックを使って高品質で出力ファイルをエンコードします。
重要: 利用できるオプションはハードウェアによって異なります。
プロフィール: このポップアップメニューを使って、出力ファイルで使用する圧縮の品質を設定します。「QuickTimeプリセット」を「H.264」に設定すると、このポップアップメニューに3つのオプションが表示されます:
高: 出力が高品質になりますが、古いH.264再生デバイスでは再生できない可能性があります。
メイン: ベースラインプロファイルとほぼ同じですが、標準精細度(SD)ビデオの要件に対応しています。
ベースライン: 主な用途は、ビデオ会議やモバイルアプリケーションです。
「QuickTimeプリセット」を「HEVC」に設定すると、出力ファイルの色深度(赤、緑、青の各カラーチャンネルのカラーを表現するために使用されるビットの数)が「プロファイル」ポップアップメニューで設定されます。次の2つのオプションがあります:
8ビットカラー: 画質とファイルサイズのバランスが適切になります。(このオプションは、HEVCのハードウェアエンコードをサポートしている最近のMacコンピュータでのみ使用できます。)
10ビットカラー: 高画質ですが、ファイルサイズは大きくなります。(このオプションではソフトウェアエンコードを使用するため、8ビットのハードウェアエンコードよりも大幅にパフォーマンスが低くなる可能性があります。)
注記: HEVCエンコードを使用するには、コンピュータでmacOS 10.13以降を実行している必要があります。
エントロピーモード: 「コーデック」を「H.264」に設定したときは、このポップアップメニューを使って、エントロピーモードをCABAC(高品質の出力)またはCAVLC(処理が高速で、古いデバイスで再生する場合の互換性が高い)に設定します。
データレート: このポップアップメニューを使って、以下の4つのオプションに基づいてビデオのデータレートを選択します。
カスタム: データレートを「カスタム」にプリセットすると、ビデオ信号を一定のキロビット/秒(Kbps)に制限する値フィールドが有効になります。レートを高くするとビデオが高品質になりますが、生成されるファイルが大きくなるため、ダウンロードや送信に時間がかかります。
コンピュータ再生: より大きく、より高品質なファイルが作成されます。
Web公開: Webサイトでのホスティングに適した小サイズ(低品質)のファイルが作成されます。
HTTPライブストリーミング: インターネット経由でのライブストリーミングに適した小サイズのファイルが作成されます。H.264およびHEVCエンコーディングでのみ使用できます。
重要: データレートを変更した場合は、その設定がコーデックの品質に関するほかのプロパティよりも優先されます。コーデックでは、データレートに基づいてファイルが最大限に圧縮されるためです。
キーフレームの間隔: テキストフィールドに値を入力して、出力ファイルにキーフレームを作成するキーフレーム間隔(フレーム数)を設定します。「自動」を選択すると、キーフレーム間隔が自動的に計算されます(「自動」を選択した場合は、フィールドに0と表示され、実際の値はエンコード処理中に決定されます)。
品質: 「コーデック」を「アニメーション」、「HEVC」、または「フォト-JPEG」に設定した場合、このスライダで以下のオプションのいずれかを調整します:
アニメーションまたはフォト-JPEG: スライダを使用して出力の品質レベルを設定します。「最低(ファイルサイズ小)」〜「最高(ファイルサイズ大)」から選択します。
HEVC: スライダを使用して出力のアルファチャンネルの品質レベルを設定します。「最低(ファイルサイズ小)」〜「最高(ファイルサイズ大)」から選択します。
マルチパス: このチェックボックスを選択すると、マルチパスエンコーディングが有効になります。マルチパスエンコーディングでは、ビデオフレームが複数回かけて解析されるため、出力ファイルの品質が高くなります。マルチパスを使用できるのは、Intelプロセッサを搭載したMacで「コーデック」を「H.264」に設定した場合と、macOS Monterey 12以降を実行していて「エンコーダのタイプ」が「高速(標準品質)」に設定されているAppleシリコンを搭載したMacで「コーデック」を「H.264」または「HEVC」に設定した場合です。トランスコードを短時間(1パス)で行うためには、チェックボックスの選択を解除して、この機能をオフにします。
Dolby Vision 8.4メタデータを含める:このチェックボックスを選択すると、出力ファイルにDolby Vision 8.4メタデータが含まれます。Dolby Vision 8.4は、HDRコンテンツをAppleデバイス用に最適化するために設計されたフォーマットです。このチェックボックスが選択されている場合、「色空間」は「Rec.2020 HLG」、「コーデック」は「HEVC」、「プロファイル」は「10ビットカラー」に設定されます。
フレーム並べ替え: トランスコード処理時にビデオフレームの並べ替えを許可することで出力ファイルの品質が上がる可能性がある場合には、このチェックボックスを選択します。「コーデック」を「H.264」または「HEVC」に設定したときにのみ、このオプションを使用できます。
重要: 「フレームの並べ替えを許可」を選択すると、出力ファイルをより効率的に圧縮できることがありますが、古いハードウェアでは出力ファイルとデコーダの互換性が失われる場合があります。
アルファを保持: ソースのアルファチャンネル情報を保持して、アルファを出力に渡す場合は、このチェックボックスを選択します。「コーデック」を「ProRes 4444」または「アニメーション」に設定すると、このチェックボックスが有効になります。macOS 10.15以降を搭載したコンピュータでは、「コーデック」を「HEVC」に設定したときにも、このチェックボックスが有効になります。「アルファを保持」をオンにすると、「品質」スライダが有効になります。
クリーンアパーチュア情報を追加: このチェックボックスを選択すると、出力ファイルで画像のクリーンなエッジが定義されます。このプロパティでは、エッジにアーティファクトが生じないようにするには何ピクセルを隠せばよいかを定義する情報が出力ファイルに追加されます。出力ファイルをQuickTime Playerで再生すると、ピクセルアスペクト比がわずかに変わります。この処理によって出力ファイルの実際のピクセル数が変わることはありません。プレーヤーでピクチャのエッジを隠すために使用できる情報がファイルに追加されるだけです。
クロップ、パディング、回転、および反転
Compressorのクロップとパディングのプロパティでは、最終的なクロップ、サイズ調整、アスペクト比をカスタマイズできます。クロップでは、イメージからビデオコンテンツを切り取ることができます。パディングでは、出力イメージのフレームサイズを維持しながらイメージを縮小できます。これらのプロパティについて詳しくは、Compressorでのフレームサイズ変更の概要を参照してください。
「回転」と「反転」のプロパティを使って、Compressorで最終出力イメージを回転したり、反転したりすることもできます。これらにより、ワイドスクリーンイメージを回転して縦長にしたり、イメージを水平方向、垂直方向、または水平と垂直の両方向に反転したりできます。
クロップ: このポップアップメニューを使って、出力イメージのサイズを設定します。デフォルトのクロップは「なし」ですが、メニューであらかじめ決められたいずれかのプリセットを選択することで、出力イメージのサイズを変更できます。「ソースのレターボックスエリア」メニュー項目を選択すると、イメージのエッジが検出されて、それに一致するクロップ値が自動的に入力されます。この設定は、ソースファイルのレターボックス領域を削除したい場合に便利です。ワイドスクリーンイメージの上下の黒いバーが切り取られます。アスペクト比を変更するときにビデオが新しいアスペクト比で中央に位置するようにするには、「出力アスペクト比に合わせてセンタークロップ」メニュー項目を選択します。メニューの下にある「上」、「下」、「左」、および「右」の各テキストフィールドにカスタム値を入力することで、独自のカスタムクロップを作成することもできます。
パディング: このポップアップメニューを使って、フレームのサイズを維持しながら出力イメージのスケーリングを設定します。これは特に、ソース素材の周囲にピラーボックス(フレームの左右の黒いバー)やレターボックス(フレームの上下のバー)を作成するときに便利です。デフォルトのクロップは「なし」ですが、メニューであらかじめ決められたいずれかのプリセットを選択することで、標準のパディングプリセットを追加できます。「アスペクト比を保持」メニュー項目を使うと、パディングを追加してもアスペクト比が変化しないようにすることができます。「カスタム」オプションを選択した場合は、フィールドに値を入力して独自の縮小サイズを指定できます。その他のオプションでは、所定のサイズが使用されます。メニューの下にある「上」、「下」、「左」、および「右」の各テキストフィールドにカスタム値を入力することで、独自のカスタムパディングを作成することもできます。デフォルトのパディングは「なし」です。
回転: このポップアップメニューを使って、出力イメージの回転を設定します。デフォルトの回転は「なし」ですが、イメージを90度、180度、または270度回転するように選択できます。これは、ビデオの撮影時にカメラの向きが正しくなかった場合に役立ちます。
反転: このポップアップメニューを使って、出力イメージを反転します。デフォルトの反転は「なし」ですが、「水平方向」、「垂直方向」、または「水平/垂直方向」を選択できます。この設定は、入力イメージの上下、左右、または上下左右を逆さにして出力イメージを作成したい場合に便利です。注記: 「回転」プロパティは、常に「反転」プロパティの前に適用されます。これにより、回転も行う出力イメージで使用する特定の「反転」オプションを変更できます。
品質
以下のプロパティでは、Compressorでのトランスコード時のビデオのサイズ変更、リタイミング、その他の調整方法を指定します:
サイズ変更のフィルタ: このポップアップメニューを使って、サイズの変更方法を設定します。以下のオプションがあります:
直近ピクセル(最速): イメージのサイズを変更するときに、直近の隣接ピクセルがサンプリングされます。このオプションでは処理時間が最短になりますが、エイリアスアーティファクトが生じたりエッジがぎざぎざになったりする可能性が高くなります。
リニア: 重みの直線分布を使って、隣接ピクセル値が平均化されます。「直近ピクセル」よりもエイリアスアーティファクトが少なく、処理時間がやや長くなります。
ガウス: 重みのガウス分布を使って、隣接ピクセル値が平均化されます。処理時間と出力品質という、相反する要素のバランスおよび優先順位が中程度になります。
Lanczos2: 切断sinc関数を使って、隣接ピクセル値が平均化されます。このオプションでは「ガウス」よりも時間がかかりますが、結果がよりシャープになります。
Lanczos3: 「Lanczos2」と同様ですが、より多くのピクセル値が平均化されます。このオプションでは「Lanczos2」よりも時間がかかりますが、結果が改善されることがあります。
バイキュービック: バイキュービック関数を使って、隣接ピクセル値が平均化されます。処理時間と出力は「Lanczos2」および「Lanczos3」とほぼ同様です。
アンチエイリアス(最高品質): 出力品質は最高になりますが、処理にかなり時間がかかることがあります。
リタイミングの品質: このポップアップメニューを使って、リタイミングの方法を設定します。以下の4つのオプションがあります:
高速(直近フレーム): 直近の隣接フレームを使って、フレームが線形に補間されます。
標準品質(フレームブレンディング): フィルタを使って隣接フレームがブレンドされ、高品質な補間が生成されます。
最高品質(動き補正): 隣接フレーム間の移動領域を使用して補間するオプティカルフローを使って、高品質な出力が生成されます。
リバーステレシネ: テレシネ処理でフィルムの24 fpsからNTSCの29.97 fpsに変換する際に追加された余分なフィールドを削除します。この項目を選択すると、ほかの品質コントロールがすべて無効になります。Compressorでリバーステレシネを使うを参照してください。
適応の詳細: このチェックボックスを選択すると、出力時に高度なイメージ解析によってノイズ領域とエッジ領域が区別されます。
アンチエイリアスレベル: 出力イメージの柔らかさを設定します。柔らかさを高めるには、値をダブルクリックして新しい値を入力するか、スライダを右にドラッグします。このプロパティを使うと、メディアを拡大するときの変換品質を高めることができます。例えば、SDビデオをHDにトランスコードする場合、イメージにぎざぎざに表示されるエッジがあってもアンチエイリアスで滑らかになります。
詳細レベル: 出力イメージの細部の量を設定します。値を設定するには、値をダブルクリックして新しい値を入力するか、スライダをドラッグします。シャープニングをコントロールすることによって、イメージを拡大したときに細部を維持できます。ほかのシャープニング操作とは異なり、「詳細レベル」プロパティではノイズと輪郭の細部が区別されるため、通常は必要以上に画像が粗くなることはありません。この値を大きくすると、エッジがぎざぎざになることがありますが、「アンチエイリアスレベル」スライダを上げれば解消できます。
ディザリング: 選択すると、サイズが大きく邪魔に感じられるカラーバンディングなどのパターンを防止するために、特定の種類のノイズがイメージに追加されます。レンダリング後にイメージのノイズが多すぎる場合は、このチェックボックスの選択を解除します。
ビデオエフェクト
Compressorで使用できるビデオエフェクト、およびビデオエフェクトをプリセットに追加する方法については、Compressorでエフェクトを追加する/削除するを参照してください。
オーディオのプロパティ
オーディオパススルーを有効にする: このチェックボックスを選択すると、ソースオーディオが変更なしで書き出し先ファイルにコピーされます。このチェックボックスを選択すると、「オーディオのプロパティ」領域にあるほかのすべてのプリセットが無効になります。
チャンネルレイアウト: このポップアップメニューを使って、オーディオ・チャンネル・レイアウトを設定します。Compressorのオーディオ・チャンネル・レイアウトを参照してください。
サンプルレート: このポップアップメニューを使って、音楽の波形(サンプル)をデジタルデータとして取り込む1秒当たりの回数を設定します。サンプルレートが大きいとオーディオ品質は高くなりますが、ファイルサイズは大きくなります。
サンプルサイズ: このポップアップメニューを使って、オーディオ信号のサンプルサイズを手動で設定します。
コーデック: システムにインストールされているオーディオコーデックを追加して、Compressorのプリセットをカスタマイズできます。プリセットで使用されるコーデックを手動で変更するには、このポップアップメニューを使用します。「OK」をクリックしてウインドウを閉じると、プリセットのオーディオプロパティがアップデートされて、変更内容が反映されます。
サンプルフォーマット: オーディオコーデックとして「リニアPCM」を選択した場合は、このポップアップメニューを使って、「ビッグエンディアン」と「リトルエンディアン」のどちらのフォーマットでオーディオを出力するかを選択します。
品質: オーディオコーデックとしてAAC、FLAC、MPEG-4 HE AAC、MPEG-4 HE AAC V2、またはOpusを選択した場合は、このポップアップメニューを使って、オーディオ出力の品質を選択します。
ビットレート: オーディオコーデックとしてAACを選択した場合は、このポップアップメニューを使って、エンコード後のオーディオのビットレートを設定します。
ビットレート方式: オーディオコーデックとしてAAC、FLAC、MPEG-4 HE AAC、MPEG-4 HE AAC V2、またはOpusを選択した場合は、このポップアップメニューを使って、オーディオのエンコードに使用する方式を選択します。以下の4つのオプションがあります:
固定ビットレート: 「ビットレート」で設定した値によって、エンコード後のオーディオのビットレートが決まります。
平均ビットレート: 「ビットレート」で設定した値によって、エンコード後のオーディオの目標平均ビットレートが決まります。このオプションでは、可変ビットレートよりも一貫したビットレートが得られます。
可変ビットレート(制限あり): 「ビットレート」で設定した値によって、エンコード後のオーディオの最大ビットレートが決まります。
可変ビットレート: Compressorによって決定された可変ビットレートを使ってオーディオがエンコードされます。
Lt/Rtダウンミックストラックを含める: このチェックボックス(「チャンネルレイアウト」が3トラック以上に設定されている場合にのみ表示されます)を選択すると、トランスコードされたファイルにオーディオのステレオミックスバージョンを含むステレオトラックが追加されます。これには、エンコードされたサラウンドの情報が含まれます。
オーディオエフェクト
Compressorで使用できるオーディオエフェクト、およびオーディオエフェクトをプリセットに追加する方法については、Compressorでエフェクトを追加する/削除するを参照してください。