macOS のワイヤレスローミング (法人のお客様向け)

ワイヤレスネットワーク内のアクセスポイント間でのローミングについて、macOS における仕組みを説明します。

システム管理者の方にとっては、macOS のローミング機能のおかげで、社内ネットワークの中の別の場所に移動しても、Mac を接続したままでいられるため便利です。

トリガしきい値

トリガしきい値とは、クライアントで現在の接続を維持する上で最低限必要となる信号強度を指します。 

macOS クライアントは、現在の BSSID の接続状況を監視し、RSSI がしきい値 -75 dBm を下回るまでその接続を維持します。RSSI がしきい値を下回ったら、macOS は現在の ESSID でローミング先の候補となる BSSID をスキャンします。

ワイヤレスセル間で想定される信号のオーバーラップ範囲を考慮して、このしきい値を検討してください。macOS は、しきい値である -75 dBm を下回るまで接続を維持しますが、5 GHz のセル間のオーバーラップは -67 dBm になるように設計されています。この場合、クライアントは現在の BSSID に想定よりも長く接続し続けることになります。

また、セルのオーバーラップの測定方法にも注意してください。コンピュータのアンテナはモデルによって違いがあり、それぞれで認識されるセルの境界が想定とは違ってきます。このため、セル間のオーバーラップを測定する際には、必ずターゲットデバイスを使うようにしてください。

帯域幅、ネットワーク、ローミング候補の選択基準

macOS では、デフォルトでは常に 2.4 GHz 帯よりも 5 GHz 帯が優先的に使われますが、5 GHz ネットワークの RSSI が -68 dBm を上回っていることが前提となります。

複数の 5 GHz SSID がこの水準に達している場合、macOS は以下の基準に照らしてネットワークを選択します。

  • 802.11ac のほうが 802.11n または 802.11a よりも優先
  • 802.11n のほうが 802.11a よりも優先
  • チャンネル幅が 80 MHz のほうが 40 MHz または 20 MHz よりも優先
  • チャンネル幅が 40 MHz のほうが 20 MHz よりも優先

macOS は 802.11k には対応していません。macOS では、802.11k が有効になっている SSID を扱えますが、 

macOS では、報告された RSSI が現在の BSSID の RSSI よりも 12 dB 以上上回るターゲット BSSID が選択されます。これは、macOS クライアントがアイドル状態の場合や、データの送受信をしている場合でも該当します。

ローミングパフォーマンス

ローミングのパフォーマンスは、クライアントが正しく認証され、新しい BSSID に接続されるまでの所要時間という形で現れます。

有効なネットワークおよび AP を探す作業は、プロセス全体の一工程にすぎません。クライアントは、ローミングプロセス全体をすばやく中断なく終わらせ、ユーザにとってサービスの停止時間が生じる事態は避けなくてはなりません。ローミングには、新しい BSSID に対するクライアントの認証と、現在の BSSID からの認証解除を伴います。セキュリティおよび認証方法によって、この工程がどの程度速くすむかが左右されます。 

802.1X ベースの認証では、クライアントで EAP の鍵交換をすべてすませておかないと、現在の BSSID から認証解除できません。環境の認証インフラによっては、これに数秒かかる場合があり、エンドユーザにとっては、ワイヤレス通信ができないという形のサービス中断となって現れます。

macOS では、静的 PMKID (Pairwise Master Key Identifier) キャッシュに対応しています。これは、同じ ESSID における BSSID 間のローミングの最適化に役立てられます。macOS は Fast BSS Transition (別称 802.11r) には対応していません。802.11r との相互運用は可能なため、macOS に対応するために追加の SSID を配備する必要はありません。

クライアントの RSSI を測定する

macOS には、RSSI を測定するためのスキャンツールがいくつか内蔵されています。

関連付けられているネットワークの RSSI を調べるには、「option」キーを押しながらメニューバーの Wi-Fi メニューをクリックします。

クライアントの環境内のネットワークの RSSI を確認するには、ワイヤレス診断を使います。ワイヤレス診断を開くには、「option」キーを押しながら Wi-Fi メニューをクリックし、「"ワイヤレス診断" を開く」を選択します。「今すぐスキャン」ボタンをクリックすると、付近のワイヤレスネットワークがすべて検出され、その RSSI が測定されます。

このグラフィックツールに加えて、コマンドラインユーティリティ「airport」も、同じデータを入手するために利用できます。このユーティリティは、「/システム/ライブラリ/PrivateFrameworks/Apple80211.framework/Versions/A/Resources/」にあります。'-s' フラグを指定すると、現在の環境で利用可能なネットワークがスキャンされ、RSSI がリスト形式で表示されます。

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