Compressorを使って複数のコンピュータでバッチをトランスコードする
複数の大きなファイルのトランスコード処理を1台のデスクトップコンピュータで行うと、プロセッサへの負荷が大きくなり、処理に時間がかかります。分散処理機能を使えば、処理を複数台のコンピュータに分散させることによって、トランスコードにかかる時間を短縮できます。Compressorで分散処理システムを設定すると、バッチが分割されて、共有コンピュータグループ内で利用可能な各コンピュータに送信されます。トランスコードが完了すると、バッチの設定時に指定した場所に出力ファイルが表示されます。
分散処理システムは、最小で2台のコンピュータで構成できます。多数のコンピュータを使ってより複雑なシステム構成にすることもできます。
分散処理を設定するには、自分のコンピュータへのアクセスを有効にしてから、共有コンピュータグループを作成します。ネットワーク上のコンピュータが検出されない場合は、コンピュータリストにコンピュータを手動で追加することもできます。
分散処理は、Final Cut Pro XやMotionからCompressorに送信されたジョブには使用できません。
重要:設定を開始する前に、分散処理に使用するすべてのコンピュータに同じバージョンのCompressorがインストールされていることを確認してください。
ネットワーク上のほかのコンピュータから任意のコンピュータにアクセスできるようにする
同じネットワーク上のMacを分散処理に使用したい場合は、Compressorを開いたままにして、バッチ処理を有効にする必要があります。Macへのログイン時にCompressorが自動的に開くようにするには、ログイン項目のリストにCompressorを追加します。macOS 10.15以降を搭載したコンピュータで分散処理を行う場合は、ネットワークアクセスの許可が必要になることがあります。このAppleのサポート記事を参照してください。
「Compressor」>「環境設定」と選択します(またはCommand+カンマ(,)キーを押します)。
「自分のコンピュータ」を選択します。
「ほかのコンピュータが自分のコンピュータ上でバッチを処理することを許可します」がオフになっている場合はオンにします。
自分のコンピュータへのアクセスを制御する場合は、「パスワードを要求」チェックボックスを選択して、テキストフィールドにパスワードを入力します。
これによって、トランスコード処理に自分のコンピュータが使われるときは、ほかのコンピュータでパスワード入力が必須になります。
ログイン項目のリストにCompressorを追加するには、以下のいずれかの操作を行います:
macOSのFinderで、アップルメニュー>「システム環境設定」と選択します。
「ユーザとグループ」をクリックしてから、「ログイン項目」をクリックします。
ログイン項目のリストの下にある「追加」ボタン()をクリックし、Compressorを選択してから、「追加」をクリックします。
共有コンピュータのグループを作成する
バッチをトランスコードするための共有コンピュータグループを作成できます。
「Compressor」>「環境設定」と選択します(またはCommand+カンマ(,)キーを押します)。
「共有コンピュータ」を選択します。
共有コンピュータのリスト(左)の下部にある「追加」ボタン をクリックします。
「名称未設定」という名前の新しいグループがリストに追加されます。
「名称未設定」グループをダブルクリックして選択し、グループの新しい名前を入力してから、Returnキーを押します。
利用可能なコンピュータのリスト(右)で、グループに追加するコンピュータのチェックボックスを選択します。
リストに目的のコンピュータが表示されない場合は、コンピュータのIPアドレスを指定してリストに追加できます(次の手順を参照)。
Xsanストレージ・エリア・ネットワークを使用している場合は、自動ファイル共有がオフになっていることを確認してください。Compressorを使ってファイル共有を手動で設定するを参照してください。
共有コンピュータグループを削除する場合は、グループを選択して、「削除」ボタン をクリックします。
共有コンピュータグループにコンピュータを手動で追加する
利用可能なコンピュータのリストに目的のコンピュータが表示されない場合は、コンピュータを手動で追加できます。
Compressorの環境設定の「共有コンピュータ」パネルで、コンピュータを追加したい共有コンピュータグループを左のリストで選択します。
ネットワークコンピュータのリスト(右)の下部にある「追加」ボタン をクリックします。
表示されるウインドウで、コンピュータのホスト名またはIPアドレスを入力して、「追加」をクリックします。
選択した共有コンピュータグループに新しいコンピュータが表示されます。
グループに手動で追加したコンピュータを一時的に無効にするには、そのコンピュータのチェックボックスの選択を解除します。
グループに手動で追加したコンピュータを削除するには、右のリストでコンピュータを選択して、「削除」ボタン をクリックします。
自動ファイル共有で使用するためにSMBを設定する
Compressorの自動ファイル共有機能を使用するには、SMBファイル共有がオンになっており、ゲストが共有フォルダにアクセス可能であり、ヘルパーツールがインストールされている必要があります。
macOSのFinderで、アップルメニュー>「システム環境設定」と選択します。
「共有」をクリックします。
「共有」環境設定パネルで、左側の「ファイル共有」チェックボックスを選択してファイル共有をオンにします。
SMB共有がオンになっていることを確認するには、「オプション」ボタンをクリックして、「SMBを使用してファイルやフォルダを共有」チェックボックスが選択されていることを確認します。
「システム環境設定」で「ユーザとグループ」をクリックします。
環境設定を変更するには、「ロック解除」ボタンをクリックしてパスワードを入力しなければならない場合があります。
「ゲストユーザ」を選択し、「ゲストに共有フォルダへの接続を許可」チェックボックスを選択してオンにします。
共有コンピュータグループを使ってバッチをトランスコードする
共有コンピュータグループを作成してグループにコンピュータを追加したら、通常の手順で、トランスコードするジョブのバッチを構成して実行できます。
Compressorで「プロセス」ポップアップメニューをクリックし、バッチの処理に使用するコンピュータグループを選択してから、「バッチを開始」ボタンをクリックします。
「バッチを開始」をクリックします。
分散処理を用いてジョブを開始するのが初めての場合、または最近Compressorをアップデートした場合は、ヘルパーツールをインストールすることを要求するメッセージが表示されることがあります。 その場合は、パスワードを入力してから「ヘルパーをインストール」をクリックします。
共有コンピュータグループでトランスコードされたバッチの進行状況または履歴を表示する
共有コンピュータグループによるバッチのトランスコード開始後、トランスコード処理の状況を確認できます。
Compressorで以下のいずれかのビューを表示します:
「アクティブ」ビュー: バッチを開始すると、Compressorウインドウが自動的に「アクティブ」表示に切り替わり、トランスコードの進行状況が表示されます。
「完了」ビュー: Compressorウインドウの上部の「完了」ボタンをクリックします。バッチのトランスコードが完了すると、そのジョブに関する情報(ソースファイルのトランスコードに使用された設定やジョブアクションなど)がここに表示されます。
ネットワーク・エンコーディング・モニタ: 「ウインドウ」>「ネットワーク・エンコーディング・モニタ」と選択します(またはCommand+Eキーを押します)。ネットワーク・エンコーディング・モニタには、お使いのコンピュータの共有状況(プロセッサの使用率、バッチ処理情報、使用ディスク領域、データのアクティビティなど)が表示されます。
「ログ」ウインドウ: ネットワーク・エンコーディング・モニタで「すべてのログを表示」ボタンをクリックすると、「ログ」ウインドウが表示されます。分散処理で問題が起きたときは、ここに表示されるログ情報を参照できます。この情報をファイルに保存して、XMLツールやUNIXスクリプトで処理することもできます。
重要:ログファイルは、「ログ」ウインドウを閉じると削除されます。