iOS、iPadOS、watchOS用のSiriKitのセキュリティ
SiriはAppの機能拡張システムを使用して他社製Appと通信します。デバイスでは、Siriはユーザの連絡先情報とデバイスの現在地にアクセスできます。ただし、保護されたデータをAppに提供するときは、Siriはまずユーザが管理しているAppのアクセス権を調べます。こうしたアクセス権に応じて、Siriは、ユーザによる元の音声からの関連部分のみをAppの機能拡張に渡します。例えば、Appには連絡先情報へのアクセス権がない場合、Siriは「支払いAppを使ってお母さんに10ドル支払って」というユーザリクエスト内の関係性を解決しません。つまりこの場合、Appは、「お母さん」という言葉のみ認識します。
一方、ユーザがAppに連絡先情報へのアクセスを許可している場合、Appはユーザの母親に関する解決された情報を受け取ります。また、「兄さんはすごい、と“メッセージ” Appでお母さんに伝えて」など、関係性がメッセージの本文部分で言及されている場合、SiriはAppのアクセス権に関係なく「兄さん」という言葉の関係性を解決しません。
SiriKit対応Appは、ユーザの連絡先に登録されている人の名前など、App固有またはユーザ固有の言葉をAppからSiriに送信できます。この情報によって、Siriの音声認識と自然言語理解でそのAppの言葉が認識されるようになります。この情報はランダムな識別情報に関連付けられます。こうしたカスタムな情報は、識別情報が使用されている限り使用し続けることができます。ユーザが「設定」でAppのSiriへの統合を無効にしたり、SiriKit対応Appがアンインストールされたりすると使用できなくなります。
「RideShareAppでお母さんの家まで配車を手配して」といったリクエストでは、ユーザの連絡先からの位置データが必要とされます。こうした場合、そのリクエストにおいてのみ、位置情報や連絡先へのそのAppのアクセス権の設定内容にかかわらず、必要な情報がSiriからAppの機能拡張に提供されます。