Apple製デバイスとGenlockを使ったバーチャル制作のセットアップ
MacとiPhoneがGenlockに対応するようになりました。これからは、Macにディスプレイを接続して背景コンテンツを表示しながら、iPhoneで複数のアングルからビデオを撮影して、Genlock同期ジェネレータと対応ドックを使ってすべてのデバイスを同期できるようになります。
バーチャル制作と同期について
バーチャル制作では、同期されている動的なビデオ背景の前でライブパフォーマンスを撮影します。バーチャル制作を成功させるには、ビデオ再生用のデバイスとカメラのタイミング基準が同じでなければなりません。デバイス同士が適切に同期されていると、撮影した各フレームが完全に同期するため、何時間もかけて手作業でフレーム単位で調整することなく、プロフェッショナルなフレームレベルの編集を実現できます。
システム条件
対応モデルのiPhoneとMacがGenlockに対応するようになったことで、会社、自宅、スタジオなどの場所でバーチャル制作ができるようになりました。MacをOLEDテレビなどの対応ディスプレイに接続し、Macでコンテンツを再生しながら、ビデオ背景の前にいる俳優や小道具をGenlock対応のiPhoneや他社製カメラで撮影できます。Genlock対応の有線/ワイヤレスの同期ジェネレータと、BlackMagic Camera ProDockのようなUSB-C接続の対応ドックを使って、あらゆるものを同期できます。
ハードウェア条件
ビデオの再生には、macOS 27 Golden Gateを搭載したMac mini(M5 Pro)、Mac Studio(M5 Max)、またはMac Studio(M5 Ultra)が必要です。
ビデオの撮影には、iOS 26以降を搭載したiPhone 17 Pro以降のProモデル、またはGenlock対応の他社製カメラが必要です。
(任意)iPhoneで撮影したビデオを保存するためのiOSデバイス用外部SSDストレージデバイス。
制作に使用するMacと各iPhoneには、USB-C接続とGenlock同期入出力に対応するドック(BlackMagic Camera ProDockなど)が必要です。
Genlock対応の同期ジェネレータシステム。1台の有線同期ジェネレータまたは複数のワイヤレス同期ジェネレータによる送信機/受信機構成に対応します。1
(任意)同期ジェネレータシステムに複数のデバイスを接続するためのBNCスプリッタ。
同期接続のため、同期ジェネレータをドックに接続するBNCケーブル。
可変リフレッシュレート(VRR)に対応する大画面OLEDテレビやプロジェクタなどのディスプレイ。
Macからディスプレイへのビデオ接続にはHDMIケーブルを使用します。ディスプレイポートを使って接続する場合はUSB-CまたはThunderboltケーブルを使用します。
ソフトウェア条件
制作に使用するiPhoneに最新バージョンのFinal Cut CameraまたはGenlock対応の他社製カメラアプリ(BlackMagic Cameraなど)がインストールされていること。
使用する同期ジェネレータに応じて、デバイスをプログラムするソフトウェア。詳しくは、メーカーのマニュアルを参照してください。
ディスプレイを設定して接続する
ディスプレイを設定し、Macに接続します。
ディスプレイを設定する
設定の名称はディスプレイによって異なりますが、一般的には、以下の種類の設定が有効になっている必要があります。
ゲームモードまたは同様の設定。一般的なディスプレイでは「AMD FreeSync」「nVidia GSync」または「HDMI VRR」という名称になっています。
HDRまたはディープカラーの設定
インスタントまたは高速ゲーム応答
以下の種類の設定をオフにします。
モーションエンハンスメント
ノイズ除去
超解像
ブラックフレーム挿入
その他のAIまたはコンテンツ調整オプション
背景コンテンツに対する追加の処理(明るさやコントラストなどの単純な調整以外)は、接続したMacで行う必要があります。ディスプレイの高度な処理設定によってビデオ信号に遅延が生じ、カメラとの同期に影響する場合があります。
Final Cut Cameraなどの一部のカメラアプリでは、同期信号を調整して、この遅延を補正できます。遅延によって、撮影した映像に焼き付き(ゴースト)が生じる場合があります。
ディスプレイを接続する
ディスプレイをMacに接続します。
Macとディスプレイの電源を入れます。
同期ジェネレータを設定して接続する
同期ジェネレータのフレームレート設定と、ビデオ撮影に使用するiPhoneのフレームレート設定が同じでなければなりません。解像度は異なっていてもかまいません。
すべての同期ジェネレータの電源を入れます。
ワイヤレス同期ジェネレータを使用している場合は、製品マニュアルに従って、同期デバイス間の無線周波数(RF)接続を設定します。一般的なワイヤレス同期システムでは、送信機からシステム内の各受信機にGenlock信号が送信されます。マルチカメラ構成では、各iPhoneに専用の同期受信機が必要です。
メインの同期ジェネレータとビデオ撮影に使用する各iPhoneのフレームレートを同じ値に設定します。
DIPスイッチ搭載のデバイスを使用している場合は、選択したフレームレートに対応する解像度の設定が「1080p/29.97」のようなプログレッシブ形式になっていることを確認します。メーカーが提供しているDIPスイッチの一覧を参照してください。
ソフトウェアで設定可能な同期ジェネレータの場合は、解像度を「1080p」などのプログレッシブ形式に設定します。
プログレッシブビデオ形式で最適な結果を得るには、同期ジェネレータを「3値同期」に設定します(設定項目がある場合)。
各同期ジェネレータの出力を、BNCケーブルで各ドックの同期入力に接続します。
スプリッタを含む構成の場合は、同期ジェネレータをスプリッタの入力に接続し、スプリッタの出力をドックに接続します。複数のスプリッタを使用することは推奨されません。
各ドックのステータスインジケータをチェックし、ドックがGenlock信号を受信していることを確認します。
Macを接続して設定する
ドックをMacのUSB-Cポートに接続します。BlackMagic Dockをお使いの場合は、付属のUSB-CケーブルをMacに接続します2。ドックは必ずMacの対応するUSB-Cポートに接続してください。
Mac mini(M5 Pro)およびMac Studio(M5 Max)の場合は、コンピュータ背面のUSB-Cポートに接続します。
Mac Studio(M5 Ultra)の場合は、コンピュータのどのUSB-Cポートにでも接続できます。
から「システム設定」を選択し、サイドバーから「ディスプレイ」を選択します。
「ディスプレイ」設定ウインドウの上部で、ビデオの背景に使用するディスプレイを選択します。
「リフレッシュレート」ポップアップメニューで値を選択し、設定可能なGenlockのオプションを選択します。ディスプレイのVRR動作範囲内に収まるよう、Macによってディスプレイのリフレッシュレートが自動的に調整されます。たとえば、「Genlock(30Hz)」を選択した場合、Macからディスプレイに60Hzで出力されても、iPhoneは30HzのGenlock基準に同期されます。
バーチャル制作中の中断を最小限に抑えるため、コントロールセンターで「おやすみモード」などの集中モードをオンにしておきましょう。
iOSデバイスを接続してカメラアプリを設定する
Macの設定が完了したら、iOSデバイスをそれぞれのドックに接続し、ビデオ撮影に使用するカメラアプリを設定してから、ビデオ撮影に適した向きにiOSデバイスの向きを設定します。
iOSデバイスを接続する
USB-CケーブルでiPhoneにドックを接続します。BlackMagic Camera ProDockをお使いの場合は、付属のUSB-CケーブルをiPhoneに接続します。2
外部ストレージデバイスにビデオを保存する場合は、対応するドックのUSB-Cポートに接続します。
カメラアプリを設定する
次に、iPhoneでのビデオ撮影に使用するアプリを設定します。
Final Cut Cameraを設定する
適切なフレームレートを設定し、受信したGenlock信号にiPhoneを同期させ、撮影したビデオの保存先を設定します。
Final Cut Cameraを開きます。
カメラの画面でをタップし、「環境設定」をタップします。
ビデオフォーマットを設定します(コーデック、解像度(フレームサイズ)、フレームレート、色空間など)。フレームレートは、必ず同期ジェネレータのGenlock出力フレームレートと同じ値に設定します。
メインの「設定」ページで、「Genlock」をタップし、「外部ソース」をタップします。同期ジェネレータの電源が入っており、すべてのデバイスが正しく接続されている場合、Final Cut CameraがGenlock信号に接続し、Genlockを出力しているデバイスが表示されます。デバイス名の横のアイコンの色は、現在のステータスを示しています。
緑色:同期されている状態。
緑の点:ジャムシンクされている状態。
赤色:同期エラー。
外部ストレージデバイスにビデオを保存する場合は、外部ストレージデバイスにビデオが保存されるようアプリを設定します。
他社製カメラアプリの設定
カメラアプリのマニュアルを参照して、正しいフレームレートを設定し、受信したGenlock信号にアプリを同期して、撮影したビデオの保存先を設定します。
カメラアプリでGenlockが認識されない場合
アプリがGenlockを検出できないというエラーメッセージが表示される場合は、以下を確認してください。
同期ジェネレータの電源が入っており、正しく設定されている。
同期ジェネレータがハブに接続されている。
iPhoneがドックの正しいUSB-Cケーブルまたはポートに接続されている。
撮影に使用する各iPhoneの向きを調整する
バーチャル制作では、iPhoneのフロントカメラでもバックカメラでもビデオ撮影ができますが、デバイスの向きは以下のようにしてください。3
バックカメラで撮影する場合は、iPhoneを横向きにし、バックカメラがデバイスの上側に来るようにします。
フロントカメラで撮影する場合は、iPhoneを縦向きにします。
Macでビデオファイルを再生する
これで、Macがビデオ再生エンジンとして機能します。Final Cut ProまたはQuickTimeを使用できます。ビデオファイルのフレームレートが、前に設定したGenlockレートと一致していることを確認してください。再生アプリをフルスクリーンで実行し、レイテンシや中断を減らすため、ほかのアプリは閉じておきましょう。
撮影したビデオで焼き付き(ゴースト)が生じる場合
MacデバイスとiPhoneデバイスにGenlock信号が同時に到達しない場合、背景ビデオにわずかな遅延が生じることがあります。この遅延は、物理的なビデオアダプタの使用や、ディスプレイ自体の特定の種類の高度な処理など、さまざまな要因によって生じる可能性があります。遅延が著しい場合、撮影したビデオの背景に、動きの速い映像がかすかに二重に見える焼き付き(ゴースト)が生じることがあります。
この遅延を調整するには、Final Cut CameraでGenlockオフセットを設定して、フレームを適切にそろえます。
iPhoneでFinal Cut Cameraアプリを開きます。
カメラの画面でをタップし、「環境設定」>「Genlock」の順にタップします。
「Adjust Genlock Offset」(Genlockオフセットを調整)をタップし、ビデオをプレビューしながらスライダをドラッグします。
オフセットの単位を変更する場合は、をタップし、オプションを選択します。
サブフレーム:1つのサブフレームはビデオフレームの1/100の長さです。そのため、リアルタイムでのサブフレームの長さはフレームレートによって異なります。
マイクロ秒:マイクロ秒は絶対的な時間単位で、1/1,000,000秒です。
終了したら、をタップします。
オフセットをテストするには、動きの速いビデオを再生して(または2つの画像を交互に表示して)録画します。録画に焼き付き(ゴースト)が生じていないか確認し、焼き付きがなくなるまでオフセットを調整します。
1. Genlockに対応した他社製同期ジェネレータには、BlackMagic Mini Converter Sync Generator(有線)、Ambient Lockit(ACN-CL)(ワイヤレス)、Atomos UltraSync One(ワイヤレス)などがあります。
2. BlackMagic Camera ProDock以外のドックについては、該当するマニュアルで、使用するUSB-Cポートやケーブルを確認してください。
3. 対応モデルのiPhoneのカメラセンサーは、「ローリングシャッター」という手法を使って画像データを読み取ります。つまり、カメラセンサーのすべてのピクセルが同時に取り込まれるわけではなく、ピクセルを取り込む方向も固定されています。同様に、LEDディスプレイやOLEDディスプレイ(またはラスターディスプレイ)のピクセルも、すべてが同時に点灯するわけではなく、ディスプレイのピクセルが点灯する方向も固定されています。ディスプレイの場合、標準的な横向きで、左から右、上から下の方向です。同様に、iPhoneのセンサーの場合も、バックカメラが上側に来るようにiPhoneを横向きにした状態で、左から右、上から下の方向になります。最適な結果を得るには、スキャンの出力方向と読み出し方向が同じになるよう、ディスプレイとiPhoneの向きをそろえます。
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