Final Cut ProでマルチチャンネルのMXFファイルを作成する
5.1サラウンドおよびステレオで仕上げたサウンドミックスを使って、マルチチャンネルのMXFファイルを作成する方法を説明します。
Final Cut Proを使えば、ブロードキャスト配信や劇場公開に適したマルチチャンネルのMXF(Material Exchange File)ファイルを作成できます。完成したMXFファイルには、5.1サラウンドチャンネルが6個、ステレオチャンネルが2個の計8個のオーディオコンポーネントが入っています。
MXFファイルを作成するには、以下のものを用意する必要があります。
完成したFinal Cut Proプロジェクトのビデオマスターファイル
完成した5.1サラウンドオーディオミックス(以下のいずれかの形式)
1個の6チャンネルインターリーブ形式のオーディオファイル。ファイルの各チャンネルが、5.1サラウンドチャンネルのそれぞれ1つに対応します(L、R、C、LFE、LS、RS)。
6個の別々のモノラルファイル。各ファイルが5.1サラウンドチャンネルのそれぞれ1つに対応します。
完成したステレオミックス(以下のいずれかの形式)
1個のステレオインターリーブ形式のオーディオファイル。
2個の別々のモノラルファイル。片方のファイルが左側のチャンネル、もう片方が右側のチャンネルに対応します。
完成したサラウンドミックスとステレオミックスにモノラルオーディオファイルを使う場合は、各ファイルが表すオーディオチャンネルにそれぞれ適したファイル名を付けてください。
お使いのFinal Cut Proのバージョンに応じて、以下の該当するリンクをクリックして、具体的な手順を確認してください。
Final Cut Pro 10.3でマルチチャンネルのMXFファイルを作成する
Final Cut Pro 10.3でマルチチャンネルのMXFファイルを作成するには、Final Cut Proを使ってメディアをプロジェクトに読み込み、オーディオチャンネルをロールに割り当て、最終的なMXFファイルを作成します。

メディアを読み込む
まず、新しいFinal Cut Proプロジェクトにメディアを読み込んで、オーディオファイルのゲインを上げます。ここでゲインを3 dB上げると、最終的にプロジェクトをMXFファイルとして共有するときに起こるダウンミックス時の減衰量が3 dB補正されます。
完成したプロジェクトのビデオマスターファイル、完成した5.1サラウンドオーディオミックスとステレオミックスを読み込みます。
プロジェクトブラウザでサラウンドクリップ(1個のインターリーブファイルか6個のモノラルファイルのいずれか)とステレオクリップ(1個のインターリーブファイルか2個のモノラルファイルのいずれか)を選択します。「変更」>「音量を調節」>「絶対」の順に選択し、ビューアの下のディスプレイに「3」と入力して「return」キーを押します。
ロールとサブロールを割り当てる
次に、オーディオチャンネルをロールとサブロールに割り当てます。
タイムラインインデックスで「ロール」をクリックして、クリップをロールとサブロール別に表示します。
「変更」>「ロールを編集」の順に選択します。
新しいカスタムのオーディオロールを作成します。名前は「5-1 Mix」にし、サブロールを6個、「L」「R」「C」「LFE」「LS」「RS」という名前で作ってください。
「Stereo Mix」という新しいオーディオロールをもう1つ作成し、「Mix L」「Mix R」というサブロールを2個作成します。
サラウンドクリップとして1個のインターリーブファイルを読み込んだ場合は、以下の手順を実行します。
ブラウザでサラウンドクリップを選択します。
「オーディオ」インスペクタで、「チャンネル」ポップアップメニューをクリックして「6モノラル」を選択します。
「オーディオ」インスペクタで、(メインのオーディオクリップではなく)5.1サラウンドミックスの1番目のコンポーネントの「Dialogue-1」をクリックし、「5-1 Mix」ロールのサブロール「L」を選択します。サラウンドファイルのほかのすべてのコンポーネントも、表「サブロールの割り当て」を参考にしてサブロールに割り当ててください。
ステレオミックスとして1個のインターリーブファイルを読み込んだ場合は、以下の手順を実行します。
ブラウザでファイルを選択します。
「オーディオ」インスペクタで、「チャンネル」ポップアップメニューをクリックして「デュアルモノ」を選択します。
表「サブロールの割り当て」を参考にして、2つのコンポーネントをサブロールに割り当てます。
サラウンドミックスとステレオミックスとして個別のモノラルファイルを読み込んだ場合は、各ファイルを「5-1 Mix」ロールと「Stereo Mix」ロールの適切なサブロールに割り当てます。
5.1サラウンドオーディオクリップとステレオミックスクリップをタイムラインで編集します。タイムラインでサブロールを表示するには、各ロールの
をクリックします。
プロジェクトを共有する
最後に、タイムラインでビデオクリップとオーディオクリップを同期させ、プロジェクトをMXFファイルとして共有します。
タイムラインでビデオクリップを編集し、オーディオをビデオに同期させます。新しいオーディオファイルだけが聞こえるように、プロジェクトタイムラインにほかのオーディオがある場合は、無効にしておいてください。
「ファイル」>「共有」>「マスター」の順に選択します。
「設定」をクリックし、「フォーマット」ポップアップメニューから「MXF」を選択します。
「ロール」ポップアップメニューから「マルチトラックQuickTimeムービー」を選択します。
「次へ」をクリックし、共有先を選択して「保存」をクリックします。Final Cut Proで、ビデオトラックが1個、モノラルオーディオチャンネルが8個のMXFファイルが作成されます。チャンネル1~6が5.1サラウンドミックストラックに対応し、チャンネル7~8がステレオミックスチャンネルに対応します。
Final Cut Pro 10.1.4~10.2.3およびCompressorでマルチチャンネルのMXFファイルを作成する
Final Cut Proバージョン10.1.4〜10.2.3をお使いの場合は、Final Cut Proを使ってメディアを読み込み、ロールとサブロールを割り当て、プロジェクトを共有します。その後、Compressor 4.1.3以降を使ってマルチチャンネルのMXFファイルを作成してください。
メディアを読み込む
まず、新しいFinal Cut Proプロジェクトにメディアを読み込んで、オーディオファイルのゲインを上げます。ここでゲインを3 dB上げると、最終的にプロジェクトをMXFファイルとして共有するときに起こるダウンミックス時の減衰量が3 dB補正されます。
完成したプロジェクトのビデオマスターファイル、完成した5.1サラウンドオーディオミックスとステレオミックスを読み込みます。
プロジェクトブラウザでサラウンドクリップ(1個のステレオインターリーブファイルか6個のモノラルファイルのいずれか)とステレオクリップ(1個のステレオインターリーブファイルか2個のモノラルファイルのいずれか)を選択します。「変更」>「音量を調節」>「絶対」の順に選択し、ダッシュボードに「3」と入力して「return」キーを押します。
ロールとサブロールを割り当てる
次に、オーディオチャンネルをロールとサブロールに割り当てます。
タイムラインインデックスで「ロール」をクリックして、クリップをロールとサブロール別に表示します。
「変更」>「ロール」の順に選択します。
新しいカスタムのオーディオロールを作成します。名前は「5-1 Mix」にし、サブロールを6個、「L」「R」「C」「LFE」「LS」「RS」という名前で作ってください。
「Stereo Mix」という新しいオーディオロールをもう1つ作成し、「Mix L」「Mix R」というサブロールを2個作成します。
5.1サラウンドオーディオクリップとステレオオーディオクリップをタイムラインで編集します。
サラウンドオーディオクリップとステレオオーディオクリップとして1個のインターリーブファイルを読み込んだ場合は、クリップごとに以下の手順を実行します。
タイムラインでクリップを選択します。
インスペクタの「オーディオ」タブで、「サラウンド」ポップアップメニューをクリックし、サラウンドクリップについては「6モノラル」、ステレオクリップについては「デュアルモノ」を選択します。
タイムラインでクリップを右クリックして、「オーディオコンポーネントを展開」を選択します。サラウンドクリップの下に6個のコンポーネントクリップが、ステレオクリップの下に2個のコンポーネントクリップが表示されます。
タイムラインで(メインのオーディオクリップではなく)コンポーネントクリップを選択し、「変更」>「ロールを割り当てる」の順に選択し、リストからサブロールを選択します。表「サブロールの割り当て」を参考にして、コンポーネントクリップをサブロールに割り当ててください。
サラウンドミックスとステレオミックスとして個別のモノラルファイルを読み込んだ場合は、各ファイルを「5-1 Mix」ロールと「Stereo Mix」ロールの適切なサブロールに割り当てます。
プロジェクトをマスターとして共有する
ロールとサブロールを割り当てたら、タイムラインでビデオクリップとオーディオクリップを同期させ、プロジェクトをMXFファイルとして共有します。
完成したビデオクリップを読み込み、タイムラインで編集して、オーディオをビデオに同期させます。新しいオーディオファイルだけが聞こえるように、プロジェクトタイムラインにほかのオーディオがある場合は、無効にしておいてください。
「ファイル」>「共有」>「マスター」の順に選択します。
「設定」をクリックし、「フォーマット」ポップアップメニューから「ビデオとオーディオ」を選択し、「ロール」ポップアップメニューから「マルチトラックQuickTimeムービー」を選択します。
既存のオーディオロールを削除します。削除したいロールの上にポインタを置き、ポップアップメニューの右に表示される削除(-)ボタンをクリックしてください。ビデオロールは削除しないでください。
「オーディオトラックを追加」をクリックして、新しいモノラルオーディオロールを8個作成します。以下の順序でオーディオロールを設定してください。
L
R
C
LFE
LS
RS
Mix L
Mix R
「次へ」(または「共有」)をクリックし、共有先を選択して「保存」をクリックします。Final Cut Proで、ビデオトラックが1個と、前の手順で定義した順序で8個のモノラルオーディオトラックが入ったQuickTimeファイルが作成されます。
CompressorでMXFを作成する
最後に、Compressorを使ってMXFファイルを作成します。ファイルをトランスコードする前に、配信要件に適したMXFフォーマットを確認しておいてください。
Compressorで、「ファイルを追加」をクリックし、Final Cut Proから共有した「マルチトラックQuickTimeムービー」を選択します。
Compressor設定の「カスタム」>「MXF」で、適宜選択します(「1080i29.97 AVC-Intra 100」など)。
「バッチを開始」をクリックすると、5.1ミックスおよびステレオミックスが個別のチャンネルとして含まれた、モノラルオーディオトラックが8個のMXFファイルが作成されます。
サブロールの割り当て
以下の表には、サラウンドミックスとステレオミックスのオーディオコンポーネントに対するサブロールの割り当てを、お使いのFinal Cut Proのバージョン別にまとめています。
Final Cut Pro 10.3のサブロールの割り当て
サラウンドコンポーネント | 5-1ミックスのサブロールの割り当て | ステレオミックスコンポーネント | ステレオミックスのサブロールの割り当て |
---|---|---|---|
Dialogue 1 | L | Dialogue 1 | Mix L |
Dialogue 2 | R | Dialogue 2 | Mix R |
Dialogue 3 | C | ||
Dialogue 4 | LFE | ||
Dialogue 5 | LS | ||
Dialogue 6 | RS |
Final Cut Pro 10.1~10.2.3のサブロールの割り当て
サラウンドコンポーネント | 5-1ミックスのサブロールの割り当て | ステレオミックスコンポーネント | ステレオミックスのサブロールの割り当て |
---|---|---|---|
mono 1 | L | mono 1 | Mix L |
mono 2 | R | mono 2 | Mix R |
mono 3 | C | ||
mono 4 | LFE | ||
mono 5 | LS | ||
mono 6 | RS |