iPadのバッテリーの安全性
警告
このデバイスには、柔らかいバッテリーセルを採用したリチウムイオン充電式バッテリーが内蔵されています。リチウムイオンバッテリー内蔵のデバイスを修理する際は、バッテリーの安全性に注意することが最も重要です。
バッテリーの交換は、電子機器の修理に必要な知識、経験、ツールを備えた技術者のみが行う必要があります。
新品のバッテリーのみを取り付けることが推奨されています。使用済みのバッテリーセルは、取り外しプロセス中に損傷する可能性があります。
バッテリーの不適切な交換や部品の不適切な取り扱い、修理前にバッテリーを放電しないことや指示に従わないことは、バッテリーの過熱、膨張、ガスの放出、液漏れ、バッテリーの熱暴走を引き起こす可能性があります。これらの事象は、火事、怪我、死亡、データ消失、またはデバイスや部品などの器物の損傷につながるおそれがあります。
これらの潜在的な危険を避けるために、バッテリーの安全性に関するガイドラインに従い、以下のツールを用いて安全な作業スペースで作業してください。考えられるすべての結果に備えておくことが重要です。
バッテリーを安全に取り扱うための作業スペースの設置方法
ツール
異物が混入していない乾燥した未処理の砂(8~10カップ)
砂の入った容器(押し上げ式のふたが付いた、広口で、取り出しやすい丈夫なプラスチック容器)
耐熱グローブ
サイドシールド付きの安全ゴーグル
静電気防止クリーニング液
耐火筐体
Appleデバイスを修理する際の作業スペースは、以下の条件を満たしている必要があります。
静電気放電(ESD)防止対策が施された不燃性の作業台
紙やその他の可燃物から0.6m以上離れていること
作業スペースの両側(作業スペースの上ではなく)の手の届く範囲(0.6m)に砂の容器が用意されていること
適度に換気されていること
耐火筐体が6.1m以内にあること。筐体には可燃物を保管せず、筐体内に何も入っていないことを確認してください。
バッテリーの熱暴走が発生した場合の対処方法
警告
バッテリーの熱暴走とは、バッテリーセル内で発生する急激な化学連鎖反応のことです。バッテリーに蓄積されたエネルギーが突然放出され、ガス放出や発火の原因となる可能性があります。バッテリーの熱暴走は、バッテリーの物理的な損傷、不適切な交換や修理、バッテリーの動作範囲外の温度によって引き起こされる可能性があります。
以下に示すバッテリーの熱暴走の兆候に気付いた場合は、ただちに対処してください。
リチウムイオンバッテリー、またはリチウムイオンバッテリー搭載しているデバイスから、煙、火花、すすが発生し始める。
バッテリーのパウチが突然、急速に膨らむ。
リチウムイオンバッテリー、またはリチウムイオンバッテリー搭載しているデバイスから、シューという音や破裂音が鳴り始める。
すぐに清潔で乾燥した大量の砂を一気にかけて、バッテリーを完全に覆います。タイミングが重要です。砂をかけ終わるのが早ければ早いほど、過熱反応をすばやく封じ込めることができます。
さらに支援が必要な場合は、現地の消防署に連絡してください。
反応が収まった後、30分間部屋を離れてください。部屋を換気し、完全に煙が消えるまで部屋に戻らないでください。
30分間待ってからデバイスに触れてください。耐熱グローブとサイドシールド付きの安全ゴーグルを着用して、砂からデバイスを取り出します。デバイスを耐火筐体に入れ、2時間以上放置しておきます。
影響を受けた部分をまず水で拭き、その後、静電気防止クリーニング液で拭きます。
各地域の環境規定やガイドラインに従い、損傷したバッテリーまたはデバイス(砂から取り除いた破片がある場合はそれも含めて)を処分します。
バッテリーの取り扱い方法
警告
修理を開始する前に、バッテリーを完全に放電してください。放電済みのバッテリーは、熱暴走を起こしにくくなります。バッテリーの残量を判断できない場合は、デバイスを修理しないでください。
バッテリーを放電する
バッテリーを放電するには、以下の操作を行います。
すべての外部ケーブルを取り外す。
ディスプレイの輝度を最大に設定する。
Wi-FiとBluetoothをオンにする。
ローカルストレージまたはストリーミングサービスから動画を再生する。
ベストプラクティス
有害な煙やバッテリーの熱暴走を防ぐため、リチウムイオンバッテリーやリチウムイオンバッテリー搭載のデバイスに穴を開けたり、叩いたり、押しつぶしたりしないでください。
作業スペースに異物や鋭利なものがないようにしてください。
バッテリーの近くで鋭利なツールを使う場合は注意してください。
緩んだネジ、余分なネジ、小さな部品をデバイスの内部に放置しないでください。
電気を通すツールは使わないでください。
バッテリーを投げたり落としたりしないでください。
バッテリーを過度の熱や太陽光にさらさないでください。また、バッテリーの動作範囲外の温度にさらさないでください。
使用済みバッテリーは、現地の法令に従って取り扱い、廃棄してください。