Apple Watchのバッテリーとパフォーマンス
Apple Watchのパフォーマンスとバッテリーとの関連性についてご説明します。
Apple Watchはシンプルで使い勝手のよいユーザ体験を実現すべく設計されています。これを可能にするには、さまざまな先進的なテクノロジーと精巧なエンジニアリングを組み合わせることが必要不可欠になりますが、そうしたテクノロジーの重要分野の一つがバッテリーとパフォーマンスです。バッテリーは複雑なテクノロジーです。バッテリーのパフォーマンスや、それに関連するApple Watchのパフォーマンスには、数多くの可変要素が関わっています。すべての充電式バッテリーは消耗品で、その耐用年数(寿命)には限りがあり、いずれは容量やパフォーマンスが低下します。バッテリーが劣化すると、その影響でApple Watchのパフォーマンスにも変化が現れます。以下、このことについて詳しくご説明します。
リチウムイオンバッテリーについて
Apple Watchのバッテリーにはリチウムイオン技術が使われています。旧世代のバッテリー技術と比べて、リチウムイオンバッテリーはより速く充電でき、より長持ちします。また、より高い出力密度を持っているため、耐用年数が延びた一方でバッテリー本体は軽くなっています。現在のところ、充電式リチウムイオンバッテリー技術は、お使いのデバイスに最適なテクノロジーです。リチウムイオンバッテリーの詳細については、こちらをご覧ください。
バッテリーの化学的経年劣化が進むと
充電式バッテリーはすべて消耗品で、化学的経年劣化が進むにつれて性能が低下します。
リチウムイオンバッテリーの化学的経年劣化が進むと充電可能な容量が低下し、その結果、再充電が必要になるまでの時間が短くなっていきます。これは、バッテリーの最大容量(新品時と比較したバッテリー容量の基準)の低下と言うこともできます。Apple Watchが製造された時点からアクティベーションされた時点までの時間の長さによっては、表示されるバッテリー容量が100%を若干下回ることがあります。さらに、バッテリーの最大瞬時給電能力(ピーク電力)も低下する可能性があります。Apple Watchが正常に機能するためには、バッテリーが電子部品に瞬時に給電できなければなりません。この瞬時給電に影響を与える属性の一つがバッテリーのインピーダンスです。バッテリーのインピーダンスが高いと、システムが必要とする電力を供給することができません。化学的経年劣化が進んだバッテリーでは、このインピーダンスが増加する傾向があります。バッテリーのインピーダンスは、充電残量が少ない状態や低温環境下でも一時的に増加します。このような状況と化学的経年劣化が重なると、インピーダンスの増加はさらに顕著になります。こうしたバッテリーの化学的特性は、業界全体に普及しているリチウムイオンバッテリーすべてに共通するものです。
インピーダンスが高いバッテリーから電力が供給されると、バッテリーの電圧が急激に低下します。電子部品が正常に動作するには最低限の電圧が必要です。たとえば、デバイスの内蔵ストレージ、電源回路、バッテリー本体などがそうです。電源管理システムはバッテリーの性能を判断した上でこうした電力供給を行い、システムが継続的に動作できるように負荷を管理していますが、電源管理システムの能力を最大限に発揮しても継続的な動作が難しくなると、電子部品を保護するためにシステムがシャットダウン(システム終了)します。このシャットダウンは、デバイスの観点からすれば意図的な動作ですが、ユーザにとっては想定外、すなわち「突然シャットダウンした」ということになりかねません。
バッテリーのパフォーマンスを最大限に引き出す方法
「バッテリー駆動時間」とは、デバイスの再充電が必要になるまでの動作時間のことです。「バッテリー耐用年数」(寿命)とは、バッテリーが使えなくなるまでの持続期間を指します。バッテリーの駆動時間と耐用年数に影響を及ぼす要因の一つにデバイスの使い方があります。ただ、どのような使い方をしたとしても、バッテリーを長持ちさせるコツはあります。バッテリーの耐用年数には「化学的経年劣化」が関係してきます。これには単に時間の経過だけではなく、充電サイクルの回数や手入れの仕方などのさまざまな要因が含まれます。バッテリーのパフォーマンスを最大限に引き出し、バッテリーの耐用年数を延ばすコツについては、こちらをご覧ください。たとえば、Apple Watchを長期間保管するときは50%前後充電した状態にしておきます。また、Apple Watchを長時間直射日光にさらすなど、高温環境下で充電や放置するのは避けましょう。
バッテリーとパフォーマンス管理
バッテリーの充電容量が低下した、ピーク電力が多い、バッテリーの化学的経年劣化が進んだなどの状況下では、パフォーマンスへの影響が見過ごせなくなる場合がありますが、こうした影響を極力抑えるため、Apple Watch Series 5以降、Apple Watch SE以降、Apple Watch Ultra以降には、新しいソフトウェアおよびハードウェアのシステムが組み込まれています。このシステムは自動で常時働き、最大限のパフォーマンスを引き出してくれます。電力需要は動的に監視され、パフォーマンスも管理されるので、需要にリアルタイムで応えることが可能です。このシステムのおかげで、これらのApple Watchモデルのパフォーマンスへの影響を可能な限り調整し、軽減することができます。そうした影響が目に留まる可能性もありますが、一時的な症状で済む場合もあります。バッテリーの状態やApple Watchで処理するタスクにもよりますが、アプリが起動するまで時間がかかる、フレームレートが低くなる、ワイヤレスデータ通信のスループットが低下する、画面が暗い、スピーカーの音量が低い、ワークアウト中に心拍数データが表示されないといった症状が現れる可能性があります。
バッテリーの経年劣化によってApple Watchのパフォーマンスに影響が出ているため、Apple Watchの交換をご希望の場合は、Appleサポートにお問い合わせください。
バッテリーのサービスとリサイクルについて詳しくはこちらをご覧ください。
Apple Watchの「バッテリー充電の最適化」と低電力モードについて
watchOS 7以降では、Apple Watchが毎日の充電の傾向を学習し、バッテリーの寿命を延ばしてくれます。これは「バッテリー充電の最適化」という機能で、Apple Watchがフル充電されたままの時間を極力短くして、バッテリーの劣化を軽減し、寿命を延ばしてくれます。Apple Watchの「バッテリー充電の最適化」について詳しくは、こちらの記事を参照してください。
watchOS 9.0以降の低電力モードは、一部の機能を停止または変更してApple Watchの消費電力を抑えてくれるので、バッテリーが長持ちします。低電力モードについて詳しくは、こちらの記事を参照してください。
Apple Watch Series 4、Series 5、Series 6(44mm)、Series 7、Apple Watch SE 2のバッテリー容量の報告機能
watchOS 9.0以降へのアップデート後、Apple Watch Series 4およびSeries 5はバッテリーの最大容量を再調整するようになり、最大容量の推定精度が上がります。Apple Watch Series 6(44mm)は、watchOS 9.4以降へのアップデート後にこの再調整を行うようになります。Apple Watch Series 7および Apple Watch SE 2は、watchOS 26以降へのアップデート後にこの再調整を行うようになります。
Apple Watchのバッテリーを長持ちさせる
毎回の充電でApple Watchの寿命を最大限に延ばすためのヒントや、バッテリーの状態を確認する方法をご説明します。