Multipath TCP を使って iOS 用のバックアップ接続を確立する
ネットワーク管理者の方は、iOS で Multipath TCP を使い、宛先ホストへの接続を強化できます。
iOS は Multipath TCP (MPTCP) に対応しています。MPTCP を利用すれば、iPhone または iPad でモバイルデータ通信接続を使って宛先ホストへのバックアップの TCP 接続を確立できるようになります。
ネットワーク管理者の方は、状況に応じて MPTCP の使用をご検討ください。一般的なホームネットワークをご利用のお客様は、MPTCP を有効にする必要はありません。
Multipath TCP について
MPTCP は、伝送制御プロトコル (TCP) 仕様の拡張セットです。MPTCP を利用すれば、クライアントから別々のネットワークアダプタを使った複数の接続を経由して同じ宛先ホストに接続できます。そうすれば、既存のネットワークインフラストラクチャに対応するホスト間のデータ通信を強化し、効率化できます。
iPhone または iPad における Multipath TCP
iPhone および iPad では、モバイルデータ通信接続で MPTCP を使い、以下の 2 つの接続を確立できます。
Wi-Fi 経由のプライマリ TCP 接続
モバイルデータ通信経由のバックアップ接続
Wi-Fi が利用できなくなったり応答しなくなったりした場合は、モバイルデータ通信接続が使われます。
MPTCP は TCP オプションフィールド 30 を使います。これは、IANA (Internet Assigned Number Authority) がこの用途のために予約しているフィールドです。iOS デバイスとサーバの間のルーターやスイッチなど、ミドルボックスのいずれかが MPTCP に対応していない場合は、標準的な TCP 接続が確立されます。
たとえば、Siri に質問をすると、Wi-Fi 経由で MPTCP 接続の確立が試みられます。これで接続できた場合、モバイルデータ通信経由でバックアップ接続が確立されます。Wi-Fi が利用できなくなったり応答しなくなったりした場合、MPTCP でただちに、シームレスにモバイルデータ通信に切り替わります。
ネットワークで MPTCP を有効にする
MPTCP は既存のネットワークで利用できます。ネットワークが MPTCP をサポートしていない場合、クライアントは標準の TCP 接続を使います。ただし、ネットワーク管理者の方は、必ずファームウェアポリシーを調べて、すべての中間デバイスで TCP オプション 30 が変更されずに通過できるようになっているかご確認ください。
市販のルーターには、未知の TCP オプションを NOOP データに置き換えるものが数多くあります。TCP オプションを有効にする方法については、ご利用の機器のベンダーにお問い合わせください。
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