macOS High Sierra のカーネル機能拡張の変更点について準備を進める
システム管理者の方は、以下の情報を参考にして、所属組織で macOS High Sierra にアップグレードする際に、カーネル機能拡張の変更点に対応できるよう準備を進めてください。
Mac のセキュリティを強化するため、macOS High Sierra のインストール時に (またはインストール後に) インストールされるカーネル機能拡張は、ユーザの同意がなければ読み込めなくなっています。これを「User Approved Kernel Extension Loading」と呼んでいます。管理者権限を持っていなくても、どのユーザでもカーネル機能拡張を承認できます。
以下に該当するカーネル機能拡張は承認不要です。
macOS High Sierra にアップグレードする前にインストールされていた機能拡張
過去に承認済みの機能拡張の後継である機能拡張
macOS 復旧で起動している間に
spctl
コマンドを使って、ユーザの同意なく読み込むことを許可されている機能拡張
macOS 10.13.4 以降では、MDM に登録されていても、User Approved Kernel Extension Loading が無効にならなくなり、以前そのことを理由に読み込みを許可されていた機能拡張も、承認必須になりました。ただし、MDM を使って、承認不要で読み込めるカーネル機能拡張を指定しておけます。そのためには、Mac が macOS 10.13.2 以降を搭載していて、DEP を通じて MDM に登録されているか、MDM の登録をユーザが承認している必要があります。
ユーザ承認済みの MDM 登録
macOS High Sierra 10.13.2 で、「ユーザ承認済み」の MDM 登録という概念が導入されました。この登録形態が必要になるのは、DEP を使わずに MDM に登録された Mac において、機密性の高い特定の設定を管理する場合だけです。
DEP を通じて MDM に登録されたデバイスでは、機密性の高い設定をすでに管理できるようになっているため、こうしたデバイスについては、登録状態がユーザ承認済みである必要はありません。
「ユーザ承認済み」オプションを使わずに MDM に登録されたデバイスでも、機密性が高くはない設定については依然として管理可能です。
登録タイプ | 機密性の高い設定の管理 | 機密性が低い設定の管理 |
---|---|---|
DEP を通じた MDM への登録 | 可 | 可 |
ユーザ承認済みの MDM | 可 | 可 |
ユーザ承認済みではない MDM | 不可 | 可 |
Mac をユーザ承認済みで MDM に登録する方法は、以下の通りです。
Mac が DEP に登録されている場合、その登録状態は、MDM への登録時点で「ユーザ承認済み」と同等になります。
Mac が macOS High Sierra 10.13.4 へのアップデート前に MDM に登録済みで、ユーザ承認済みではなかった場合は、10.13.4 のインストール時点で登録状態が「ユーザ承認済み」に変換されます。
登録プロファイルをダウンロードするか、自分にメールで送信することもできます。プロファイルをダブルクリックし、システム環境設定の案内にそって、MDM に登録してください。
オートメーションを使った場合や、デバイスを画面共有を使ってリモートから登録しようとした場合は、登録状態は「ユーザ承認済み」にはなりません。
Mac が macOS 10.13.4 でユーザの承認なく MDM に登録された場合、その登録状態は「ユーザ承認済み」になりません。機密性の高い設定を管理するためには、登録状況を承認できます。
Apple メニュー >「システム環境設定」の順に選択し、「プロファイル」をクリックします。
というバッジが付いた登録プロファイルを選択します。
右側の「承認」ボタンをクリックし、画面の案内に従います。
MDM を使う場合の User Approved Kernel Extension Loading
macOS 10.13.4 から、MDM に登録されているものも含め、すべてのデバイスで User Approved Kernel Extension Loading が有効になります。Kernel Extension Policy ペイロードを使えば、以下のことができます。
ユーザの同意なく読み込めるカーネル機能拡張を指定する
必要に応じて、ユーザが追加の機能拡張を承認しないように阻止する
MDM を使わない場合の User Approved Kernel Extension Loading
MDM の外側から User Approved Kernel Extension Loading を管理する場合は、macOS 復旧から起動し、spctl
コマンドを使います。コマンドを単体で実行すれば、詳しい用法を確認できます。
User Approved Kernel Extension Loading を spctl
コマンドを使って管理する場合、NVRAM をリセットすると、Mac がデフォルトの状態に戻り、User Approved Kernel Extension Loading が有効になります。Mac でファームウェアパスワードを設定しておけば、NVRAM が無断で変更されないように阻止できます。