iPhone の「バッテリー充電の最適化」について

iOS 13 以降では、iPhone が毎日の充電の傾向を学習し、バッテリーの寿命を延ばしてくれます。

バッテリーの耐用年数には「化学的経年劣化」が関係してきます。これには、単にバッテリーの製造日からの時間の経過だけではなく、温度の履歴や充電パターンなどのさまざまな要因が複雑に組み合わさって影響してきます。充電式バッテリーはすべて消耗品で、化学的経年劣化が進むにつれて性能が低下します。リチウムイオンバッテリーの化学的経年劣化が進むと充電可能な容量が低下し、その結果、バッテリーの寿命が短くなり、最大瞬時給電能力 (ピーク電力) も低下します。iPhone のバッテリーとパフォーマンスについて詳しくは、こちらの記事を参照してください。また、バッテリーの駆動時間と耐用年数を最大限に延ばす方法については、こちらをご覧ください。

iOS 13 以降には、「バッテリー充電の最適化」機能があり、iPhone がフル充電されたままの時間を極力短くして、バッテリーの劣化を軽減し、寿命を延ばしてくれます。この機能を有効にすると、所定の条件下で、iPhone は 80 パーセントまで充電したら、その後の充電を遅らせます。iPhone はオンデバイスで機械学習機能を使い、毎日の充電の傾向を把握するので、iPhone がある程度長い時間、充電器に接続されるだろうと予測されるときにしか「バッテリー充電の最適化」は働きません。充電器から外した時点で、iPhone がフル充電されている状態にしておくことが、このアルゴリズムの狙いです。

「バッテリー充電の最適化」が働いているときは、iPhone がいつ頃フル充電されるかを知らせる通知がロック画面に表示されます。iPhone をすぐにフル充電する必要がある場合は、この通知を長押しして、「今すぐ充電」をタップしてください。

iOS 17 搭載 iPhone 14 Pro のロック画面の充電の最適化の通知

「バッテリー充電の最適化」は、iPhone の設定時にデフォルトでオンになります。

充電オプションを変更する場合は、以下の手順を実行してください。

  • iPhone 14 モデル以前では、「設定」>「バッテリー」>「バッテリーの状態と充電」の順に選択し、「バッテリー充電の最適化」をオフにします。

  • iPhone 15 モデルでは、「バッテリー充電の最適化」「上限 80%」「なし」から選択できます。「設定」>「バッテリー」>「バッテリーの状態と充電」>「充電の最適化」の順に選択し、オプションを選択してください。

iOS 17 搭載の新しい iPhone の「設定」>「バッテリーの状態と充電」でフル容量を示している

充電の最適化をオフにした場合、バッテリーが消耗しやすくなり、寿命が縮む可能性があります。

iPhone 15 モデルの「上限 80%」について

iPhone 15 モデルでは、「バッテリー充電の最適化」「上限 80%」「なし」のいずれかを選択できます。

「上限 80%」を選択した場合、iPhone はバッテリー残量が 80 パーセントになったところで充電を停止します。バッテリーの残量が 75 パーセントを下回ると充電が再開し、再び 80 パーセントになると停止します。

「上限 80%」を有効にしている場合も、iPhone はバッテリーの充電状態の推測精度を維持するため、ときどき 100 パーセントまで充電されます。

「バッテリー充電の最適化」が有効になっていない場合

「バッテリー充電の最適化」は、自宅や職場など、普段長い時間を過ごす場所でしか働かないようになっています。旅行中など、使用傾向が普段と違って流動的な場合は働きません。そのため、「バッテリー充電の最適化」を使うには、一部の位置情報の設定を有効にしておく必要があります*。この機能で使われる位置情報が Apple に送信されることはありません。

以下の手順で行ってください。

  • 「設定」>「プライバシーとセキュリティ」>「位置情報サービス」の順に選択し、「位置情報サービス」をオンにします。

  • 「設定」>「プライバシーとセキュリティ」>「位置情報サービス」>「システムサービス」の順に選択し、「システムカスタマイズ」をオンにします。

  • 「設定」>「プライバシーとセキュリティ」>「位置情報サービス」>「システムサービス」>「利用頻度の高い場所」の順に選択し、「利用頻度の高い場所」をオンにします。

関連情報

デバイスの充電が予期せず止まる場合の対処法については、こちらの記事を参照してください。

*「バッテリー充電の最適化」は、まず 14 日以上かけて充電の習慣を学習してからでないと働きません。また、iPhone を特定の場所で 9 回以上、毎回 5 時間以上充電してからでないと、「バッテリー充電の最適化」は機能しません。

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